ロート製薬、2層ERPでグループ全体の経営データ可視化 30社の情報集約を2週間短縮

2025年9月15日11:50|ニュースCaseHUB.News編集部
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 ロート製薬は、主要海外グループ会社30社のデータを集約するグローバル業務基盤を構築し、その中核に「Microsoft Dynamics 365」を採用した。9月12日、導入を支援した日立ソリューションズが発表した。グループ各社で個別に運用していた既存のERPを生かしつつ、データ連携を自動化する2層ERPを構築。経営データの集約・分析にかかる時間を約2週間短縮できる見込みだ。

 医薬品やスキンケア、再生医療などのビジネスをグローバルに展開するロート製薬は、各国でERPを個別に導入していた。そのため、システムがサイロ化し、グループ全体の経営状況を可視化するための作業に多くの時間と手間を要していた。また、グループ各社で独自に管理されているマスターデータやコードの統一、ガバナンスの強化も課題となっていた。

 こうした課題を解決し、グループ各社のシナジーを高めるための業務基盤構築を2021年に開始。日常業務で利用しているExcelとの親和性の高さや、同一プラットフォーム上でデータ連携から分析まで行える点を評価し、Microsoft Dynamics 365の導入を決定した。

 今回のプロジェクトでは、グループ各社の既存ERPを第1層(Tier1)とし、その上に第2層(Tier2)となるERPをMicrosoft Dynamics 365で新たに構築する2層構造のアーキテクチャーを採用した。この仕組みにより、各社が個別に導入した既存ERPの運用への影響を抑えながら、会計やサプライチェーンに関するデータの統合を図った。

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ロート製薬が新たに構築した2層ERPのシステム構成図(出典:ロート製薬)

 新基盤では、BIレポート基盤に「Microsoft Fabric」を採用し、グループ各社で形式が異なるデータの加工・連携を自動化した。これにより、これまで多くの工数がかかっていたデータ集約のプロセスを効率化し、分析までの一連のプロセスを同一プラットフォーム上で実行できるようにした。

 Microsoft Dynamics 365をTier2とした2層ERPの構築により、各社の業務プロセスの強みを保持したまま、グループ全体のデータを可視化できるようになった。また、第2層でマスター体系とコード体系を統一し、業務基盤として活用するためのデータ整備も実現できたという。さらに同社は、クラウド型のERPであるMicrosoft Dynamics 365を導入したことで「ビジネスの持続的な成長に対応可能な将来の柔軟性も確保した」としている。

 ロート製薬は今後、グループ各社に適したタイミングで、第1層のERPも順次Microsoft Dynamics 365にリプレースしていく計画だ。

ニュースリリース