神戸市は11月20日、BIPROGYと三井不動産が提供する都市OSのポータルサイト「スマートライフパス」とパーソナルデータ連携基盤「Dot to Dot」を活用し、市内の慢性的な渋滞を解消するための取り組みを開始すると発表した。道路状況や人流データを基にシャトルバスの運行を最適化するとともに、公共交通機関の利用やオフピーク通行といった混雑解消につながる行動にインセンティブを付与し、行動変容を促す。ハード施策とデジタル施策を組み合わせて都市の交通課題の解決や快適なまちづくりを目指すとしている。また、都市OSの具体的なユースケースとしてブラッシュアップし、都市OSの普及拡大につなげたい考えだ。
デジタル施策としては、ギックスのプラットフォーム「マイグル」を使った「神戸GPSスタンプラリー」を2025年10月27日から12月25日まで実施している。これは、GPSチェックイン機能を利用し、鉄道利用やオフピーク通行の行動に対してインセンティブを付与する仕組みだ。参加者はDot to Dotのデータ連携に同意することで実績が連携され、スマートライフパスのポイントが付与される。このポイントは三井ショッピングパークポイントに変換が可能となっている。
一方、ハード施策としては、富士通の協力のもと、神戸市内の道路運行状況を分析し、混雑緩和効果の高い経路を推定。さらに、富士通の社会課題解決事業「Uvance」のソーシャルデジタルツイン技術を活用したシミュレーションにより、神戸市営地下鉄「名谷駅」と「三井アウトレットパーク マリンピア神戸」を結ぶ特別シャトルバスの最適な運行施策などを検討していくとしている。
スマートライフパス会員を対象に行った事前検証では、インセンティブを付与することで電車の利用頻度が向上する効果が確認された。また、一度インセンティブを付与すると、その水準を下げた後でも電車利用が継続される効果が判明し、初期段階で適切な動機づけを行うことが行動の定着につながることが確認できているという。