中島屋ホテルズは、シフト作成業務の効率化と属人化の解消を目的に、クロスビットのクラウドシフト管理サービス「らくしふ」を採用した。7月3日、クロスビットが発表した。これまで半月をかけて約100人分のシフトを作成していたが、2~3日で完了できるようになり、従業員の休暇申請のしやすさや満足度の向上にもつながっているという。
中島屋ホテルズは1916年創業で、静岡県中部を中心にホテルやレストランを運営している。同社が運営する焼津グランドホテルでは、従来、副総支配人が約100人分のシフトをExcelで作成していた。業務が属人化していたことに加え、従業員の休みの希望は紙の付箋で提出されており、確認作業も煩雑になるなどアナログな運用も課題となっていた。結果としてシフトの確定が月末までずれ込み、従業員はプライベートの予定を立てにくく、シフト管理側、従業員側の双方にストレスがかかる状態が常態化していたという。加えて、新型コロナウイルス感染症の流行が落ち着き、旅行需要が回復するとともにスタッフを増員したことで、シフト作成業務の負荷はさらに増大していた。
こうした状況を受け、シフト管理者が本来注力すべき収益やサービス品質の向上に関わる業務に時間を割くため、シフト管理システムの導入を決定した。らくしふの導入後、シフト作成業務は各セクションの管理者が担当し、副総支配人が最終確認する体制に移行した。これにより属人化が解消され、副総支配人は収益改善やサービス品質向上といった本来の業務に多くの時間を充てられるようになった。一部のセクションでは、管理職の部下にも作成を任せることで、現場のマネジメント力育成にもつなげているという。
シフト作成に費やす時間も大幅に短縮し、導入後は自動作成機能の活用などにより2~3日で作成を完了できるようになった。シフトの確定時期も2週間ほど早まり、従業員は早い段階で予定を把握できるようになったとしている。また、休みの希望をLINEで申請できるようになったことで、従業員が気兼ねなく希望を出しやすくなり、休暇取得のしやすさと業務の透明性が向上したとしている。らくしふが現場にスムーズに定着したことをきっかけに、ITツールへの心理的ハードルが下がり、社内全体のデジタル化に向けた意識変革も起こっているという。
中島屋ホテルズは、焼津グランドホテルだけでなく、運営する三つのホテルでらくしふを活用しており、毎月1.5人分の人件費に相当する工数を削減できたと試算している。導入コストに十分見合う効果が得られたと評価する。
焼津グランドホテル副総支配人の鈴木英一郎氏は、「以前は本来注力すべき業務があるのに、シフト作成に追われるジレンマを抱えていた。管理職としては、サービス品質や収益向上といった本来の業務により多くの時間を使うべきであり、らくしふは理想的な状態に近づくために大きく役立っている。今後はまだ導入していない当社運営の他ホテルへの展開も期待している」と話している。