コクヨ、TISとインテックの支援でサービス基盤をAWSへ移行 ガバナンスを強化

2025年7月8日11:05|ニュースCaseHUB.News編集部
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 コクヨは、BtoBサービス基盤のクラウド移行に伴うガバナンス強化などを目的に、TISの「AWSマネージドサポートサービス」を導入した。7月7日、TISが発表した。オンプレミス環境で運用していたサービス基盤をアマゾンウェブサービス(AWS)のマルチアカウント環境へ移行。TISの知見に基づくセキュリティ設定を活用することで金融業のセキュリティ基準に対応し、事業部ごとのコスト管理も効率化する。

 コクヨは老舗の文具・オフィス家具メーカーとして広く知られているが、企業間の伝票発送を自動化する「@Tovas」や、金融機関向けの文書管理サービス「Re:FIND」といったBtoBサービスも提供している。2022年、これら2サービスのサービス基盤を、データセンターのオンプレミス環境からクラウドに移行する検討を開始した。

 クラウド移行にあたっての支援パートナーには、TISと同じTISインテックグループのインテックを選定。移行対象のオンプレミス基盤を約15年にわたり構築・運用してきた実績を重視した。

 AWSマネージドサポートサービスの導入は、インテックの提案を採用したもの。コクヨは近年、クラウド基盤としてAWSを最も多く採用しており、インテックの提案もAWSを主軸としたものであったことを評価。特に、AWSをマルチアカウント構成にすることで、二つのサービスの運用領域を完全に分離し、誤操作の防止やアクセス権限管理が容易になる点が採用を強く後押ししたという。また、専門知識が必要なAWSのセキュリティ対策を、TISのベストプラクティスを活用して適用できる合理性や、事業部ごとのコスト管理を効率化できる点もポイントになった。

 プロジェクトは2023年6月に開始。インテックが全体を統括し、TISがAWSの技術面をサポートする体制で進められた。BtoBサービスの事業部別の2アカウントに加え、本番環境用や開発環境用など、合計12個のアカウントを構築した。移行に際しては、ユーザー企業の協力のもとでUAT(ユーザー受け入れテスト)を重ねた。AWSマネージドサポートサービスにプリセットされたセキュリティ設定を利用してマルチアカウント環境の安全性を強化できたこともあり、金融業のユーザーの厳格な社内審査もクリアできたという。約1年3カ月のプロジェクトを経て、2024年9月に@TovasとRe:FINDはAWS上で本番稼働を開始し、早期に安定稼働したとしている。

 今回の移行により、オンプレミス環境では困難だったストレージ容量の拡張やCPU・メモリなどのリソース調整が柔軟になり、ユーザー数の増加にも迅速に対応できるようになったという。また、プリセットされたセキュリティ設定の利用で検証の手間をかけずに安全性を向上させるとともに、統合管理用アカウントを設けて社員のアクセス権限管理を厳格化し、ガバナンスを強化した。

 コクヨの担当者は「移行対象のサービスはお客様にとってビジネスインフラであり、サービスが止まることは許されない。高い品質が要求されるプロジェクトを、同じグループのインテックとTISが連携することで不安なく進めることができた。今後は、クラウドへのリフトからシフト、つまり最適化を進め、AWSの機能をいち早く取り入れてサービスを拡張していく計画だ」と話している。

ニュースリリース