旭川信用金庫は、全社データ活用基盤としてBIダッシュボード「MotionBoard」を導入した。10月7日、MotionBoardを提供するウイングアーク1stが発表した。同金庫はMotionBoardを活用して相続管理システムを構築。全40店舗の相続事務を本部に集約することで、年間約3000時間の業務削減を見込む。創出された時間を顧客への提案活動に充て、サービス向上を図る。
同金庫では、Windowsの更改に伴いBIツールの置き換えが急務となっていた。従来はデータ収集が非効率で、情報開示の遅れや蓄積データの未活用が課題だったという。特に相続業務は、戸籍謄本など公的書類の確認に専門知識が求められ、事務処理に多くの時間を要することが営業店の大きな負担となっていた。
こうした中、2024年5月にDX戦略を策定し、データ分析基盤を支えるBIツールの導入を検討。MotionBoardの選定にあたっては、データ入力機能や簡易ワークフロー機能を備えている点を評価した。加えて、現場担当者にとっての使いやすさや、同じくウイングアーク1stが提供する帳票基盤ソリューション「SVF」と連携できる点も採用のポイントになった。
MotionBoardの導入と並行して相続事務の本部集中化を目的とした相続センター準備室を立ち上げ、相続管理システムの構築を推進。2025年7月に全40店舗での本番稼働を開始し、営業店が担っていた相続事務の集中化を完了した。従来、営業店では1件あたり平均2時間かけていた年間約1500件の事務処理が本部に集約されたことで、年間約3000時間の業務削減を見込んでいる。
相続管理システムの導入により、従来は勘定系システムから平均10枚ほど出力して確認していた作業が、必要な情報を集約した1枚の相続照会票で完結できるようになった。また、遺言書の有無や相続人の構成などを入力すると、必要な書類が自動で判定され、ミス防止にも大きく貢献しているという。
このほかにも、顧客照会システムや伴走支援型特別保証制度のフォローアップ報告書など、複数のシステムがMotionBoard上で稼働している。同金庫は、ウイングアーク1stのカスタマーサクセスや「AIアシスタントfor MotionBoard」なども活用しながら、内製でシステムを構築。法令改正などにも柔軟に対応できる体制を整え、常に最新の運用に合わせたシステムの維持管理を実現している。今後は、データ活用のアイデアを職員から募集するなど、DXの意識醸成にも取り組んでいく方針だ。