パーソルホールディングスは、グループ30社の会計基盤を、「SAP S/4HANA Cloud Public Edition」を中心とする新しい会計システムに刷新し、国内の主要会社で本格稼働させた。30社の仕訳データを、一括で取り込めるようになった。10月15日、構築を支援したNTTデータ グローバルソリューションズ(NTTデータGSL)が発表した。
パーソルグループは、人材派遣、転職支援、ITアウトソーシング、設計開発など、多様な事業を国内外で展開する。事業の拡大と新たな挑戦が進む中、管理会計、社内稟議、財務会計を支える共通システムは、長年大きな刷新がなく、システム間の連携の多くが、手作業に頼っていた。パーソルホールディングスは、グループ経営の高度化を支える基盤づくりを目的に、会計システムの刷新を、2023年に決めた。予実管理と財務データ連携の効率化に加え、将来の業務の自動化やAIの活用も視野に入れた。単なるシステム更改ではなく、標準機能に業務を合わせる「Fit to Standard」の考え方で、グループ全体の業務標準化と組織変革を進めるプロジェクトに位置づけた。
新しい会計基盤は、SAP S/4HANA Cloud Public Editionに、財務決算を支援する「BlackLine」、システム連携の「SAP Integration Suite」を組み合わせた。NTTデータGSLの支援範囲として示された導入社数は、SAP S/4HANA Cloud Public Editionが28社、BlackLineが13社、SAP Integration Suiteが30社だ。SAP S/4HANA Cloud Public Editionについては、2024年度に2社への先行導入を済ませている。
課題は、グループ各社が使う多様な基幹システムとの連携と、各社独自の業務プロセスの見直しだった。財務部門、システム部門、各事業会社、業務委託先を含む体制で、対話を重ねながら進め、財務と管理会計の観点から必要なデータを整理して、各社で異なっていたデータ連携の流れを統一した。
成果は四つある。一つ目は、30社の仕訳データを一括で取り込める環境を整備し、経理担当者の作業負荷を軽減したことだ。二つ目は、月間数十万件にのぼる元帳データの検索性能が上がり、必要な情報へ素早くアクセスできるようになった。三つ目は、グループ共通のプロセスで、業務の透明性が高まり、ガバナンスの強化と内部統制の実効性の向上につながった。四つ目は、業務改革を通じて、従来のやり方にとらわれない改善の取り組みが、現場に広がったことだ。
パーソルホールディングスは、今回の刷新を、業務標準化、組織最適化、決算早期化など、これまで構想にとどまっていた変革を実行するための共通基盤の構築であり、グループ全体の変革を加速させる重要な取り組みと評価している。
今後は、整備した会計基盤を使い、決算業務と債権消込業務の自動化とAI活用を強める。会計データを活用した異常値の検知、仕訳の提案、増減の分析、自動消込率の向上など、AIとの協働による財務業務の高度化にも取り組む予定だ。