カー用品の専門店を展開するオートバックスセブンは、Googleのグループウェア「Google Workspace」を中核とする業務環境への移行を進め、生成AI「Gemini」を活用している。従来は30分から1時間かかっていた報告資料の作成が、Geminiへの指示で2〜3分に縮んだ。10月9日、Googleが事例を公開した。
オートバックスセブンは、グループ全体で、2022年度に2362億円だった売上高を、2032年度に5000億円まで広げる目標を掲げる。長年、既存のオフィスツールを全社の業務基盤にし、マクロを駆使した表計算ソフトによる緻密な業務自動化が、現場の効率化に貢献してきた。ただ、目標の達成には、従来の業務プロセスや働き方の延長線上にとどまらない変革が必要と判断し、生成AIを活用した業務プロセスの改革を決めた。既存ツールのライセンス更新に伴うコストの見直しや、追加コストなくGeminiなどの生成AI機能がグループウェアに含まれる点も、後押しになった。現場からは、慣れ親しんだマクロや表計算ソフトが使えなくなるのではないかという懸念や、強い反発の声も上がったが、Google Workspaceを中核とする業務環境への移行を決めた。
グループのDX推進を担うオートバックスデジタルイニシアチブ(ABDi)が、他社の事例の知見を取り入れ、段階的に移行を進めた。法務部門の契約書の作成、財務・経理部門のフォーマットの維持、営業部門の複雑なマクロ計算といった専門業務には配慮しつつ、多くの業務を、Googleスプレッドシートや、Googleドキュメントに置き換える方針を定めた。社内ポータルとチャットボットによる相談窓口を整え、ABDiの開発チームが、現場の移行を支援する体制を築いた。
業務の在り方を変える起爆剤になったのが、GeminiとGemini Notebookだ。Gmail上の予定の確認、関連資料の横断検索、月次の報告資料の作成にGeminiを使う。関数などを駆使して、30分から1時間かけていた集計と作成が、2〜3分で終わる。Google Meetの文字起こしと要約で、オンライン会議の決定事項とタスクの整理を自動化した。店舗運営に関わるシステム仕様書、マニュアル、過去の変更履歴は、Gemini Notebookに集約した。異動者や新入社員に、一から口頭で説明していた引き継ぎは、Gemini Notebookに質問すれば、すぐに答えが得られる体制になった。会議の準備に必要な資料も、GmailやGoogleドライブを横断して探せるようになった。
使い始めの時点では、全体の約50%が、従来の表計算ソフトの継続を望んでいた。最終的には、表計算ソフトの利用を約25%に絞り、それ以外はGoogleスプレッドシートに移す予定だ。今後は、ABDiが中心となり、先行して使って得たGeminiとGemini Notebookの活用ノウハウを全社に広げ、全社員が自然にAIを使いこなす環境を整える。