法人向けの贈答用胡蝶蘭を扱うアートグリーンは、自社のECサイトと、得意先の購買システム「SAP Ariba」を、パンチアウト連携でつないだ。連携の基盤には、アステリアのデータ連携ツール「ASTERIA Warp」を使い、実装はパナソニック デジタルが支援した。得意先は、SAP Ariba上で、商品の選定から発注まで完結できる。10月14日、パナソニック デジタルが事例を公開した。
パンチアウト連携は、商品を調達する企業(バイヤー)の購買システムと、商品を提供する企業のカタログをつなぎ、バイヤーが自社の購買システム上で、商品の選定から発注まで済ませる仕組みだ。アートグリーンが取り組んだきっかけは、得意先から連携を要請されたことだった。得意先は、グループ全体の間接材の調達と購買を、SAP Aribaで一元管理しており、胡蝶蘭の購買も一元化したい意向だった。
アートグリーンは、受け取る側にも狙いがあった。得意先のグループ全体では、贈答用の胡蝶蘭を毎年相当数購入するが、購入の経路は、部門や部署、グループ会社ごとに異なっていた。連携で、この購買をECサイトに集約し、得意先とのつながりを強める。発注の方法も、ECサイト経由のほか、メールやFAXがあり、受注の処理に時間がかかっていた。贈答用の胡蝶蘭は繁閑の差が大きく、毎春の繁忙期は、1日500~1000件の受注がある。繁忙期の受注業務を効率化する打ち手としても期待した。
連携の実装で実績のあるベンダーは、ほとんど見つからず、「パンチアウト」で検索しても、ほぼ何もヒットしなかった。得意先の協力も得て探し、見つけたのがパナソニック デジタルだ。ASTERIA Warpは、パナソニック デジタルの勧めで選んだ。同社が精通している安心感に加え、ノーコードでデータを連携でき、保守を自社で行える可能性や、パンチアウト連携以外への活用も見込めると判断した。この種のITプロジェクトの経験がなく、プロジェクトマネジメントのほぼすべてを、パナソニック デジタルが担った。得意先、カートシステムの提供元も参加するプロジェクトで、関係各社の中心に立って全体をまとめた。
難しかったのは、贈答品特有の情報の扱いだ。得意先の購買システムには、胡蝶蘭の発注に必要な届け先や立札に記す氏名といった入力項目がなく、対応の前例もなかった。発注に必須の情報を選び抜いて、SAP Ariba上で入力できるようにし、そのデータをASTERIA Warp経由でECサイトのカートシステムへ橋渡しする仕組みづくりに、工夫と時間がかかった。連携のテストでは、エラーが繰り返し発生し、諦めかけた。得意先側でも対処法が分からないエラーがあり、その都度、パナソニック デジタルに問い合わせて助言を受けた。パナソニック デジタルは、得意先やカートシステムの提供元との技術的なやり取りでも、間に入って支えた。
得意先は、従来、カタログを見て、表計算ソフトに注文情報を手入力していた。今は、SAP Ariba上で商品を選び、画面上で必要事項を指定するだけになり、「注文が楽になった」との声が届いている。アートグリーンの受注業務の効率化は、事例ページでは「期待」の段階だ。
取締役の山村浩二氏は、得意先とのパンチアウト連携を実現している企業は、フラワービジネスで、日本では自社だけではないかと話す。参考事例がなく、手探りの挑戦だったが、他社に先駆けて、取引の効率化と、継続的な取引につながる基盤を構築できたという。すでに数社の得意先と、同様の連携の話を進めている。ASTERIA Warpは、他システム間の連携にも使い、業務の効率化と自動化に生かしたい考えだ。