船舶用塗料などを製造する中国塗料は、エスマットが提供するIoT重量計を用いた在庫管理・発注自動化ソリューション「スマートマットクラウド」を導入した。6月22日、エスマットが発表した。研究開発拠点における資材管理の自動化を進めた結果、約半年間で一部アイテムの年間購入数量を約35%削減したほか、欠品ゼロを維持しながら全体で11%の在庫削減と適正化を達成した。
広島にある中国塗料の技術本部では、世界各地で使用される船舶用や工業用の塗料開発を行っており、試験板や刷毛、保護具など約100品目の研究用消耗品を管理している。これらの消耗品は、欠品すると実験そのものが停止してしまう重要資材である一方、近隣での即時調達が難しく、納期に数日を要するものが少なくなかった。従来の在庫管理は担当者の経験と勘に依存しており、人事異動や定年退職に伴うノウハウの未引き継ぎ、在庫切れの看過による他部署からの借用といった事態が発生していた。欠品を恐れた各部署が余分なストックを抱え込むことで過剰在庫が膨らむ悪循環に陥っていたほか、在庫確認のために現地へ足を運ぶ発注業務の負担も大きく、誰でも安定して運用できる仕組みづくりが課題となっていた。
課題解決に向けて同社は、当初バーコードやRFIDタグによる管理も検討したが、納品ごとのラベル貼り付け作業や現地でのスキャン、複数部署での運用ルールの徹底がハードルとなり採用を見送った。最終的に、定位置のマットに物品を「置くだけ・取るだけ」で自動計測できるスマートマットクラウドの運用のシンプルさを評価し、全利用者が継続して使い続けられると確信し導入を決めた。
導入の効果として、在庫置き場に赴くことなくデスクのPCからリアルタイムに実在庫数が確認できるようになり、発注業務がほぼ完結する体制が整った。残量が設定した発注点に達すると自動で通知される発注点アラート機能の活用により、研究員から品不足を訴える声がなくなり、実験の遅延リスクを排除する欠品ゼロを達成した。
また、マットによる実際の回転率や使用トレンドの可視化に基づき、過剰だった在庫の圧縮を進めた結果、約半年間で在庫圧縮マイナス28%を記録した。同時に、過去に欠品が頻発していた試験板など最小在庫量が少なすぎた品目については17%の在庫積み増しを実施。一律の削減ではなく、品目ごとの適正な保持量を客観データに基づいて見直したことで、トータルで11%の在庫削減と適正化を実現した。定型作業の削減により、担当者がより専門性の高い業務へシフトできる環境も整った。さらに、客観データに基づく「在庫最適化AIエージェント」機能を活用し、AIからの在庫削減提案に対して社会情勢を踏まえた閾値調整を行うなど、AIをパートナーとした在庫管理を行っている。
今後は、シーズンによる使用量の波を吸収する年間を通じた安定運用の検証を進めるとともに、経験に依存せず誰でも回せる発注体制の構築を目指す。あわせて、技術本部での成功事例を全社的なDX施策のモデルケースとして社内共有し、生産部門や製造現場(工場)への横展開と、設置環境に応じたSIM版やWi-Fi版のモデル選定の検討を進めていく。