大豊工業は、マネジメント教育の根本的な刷新を目的に、シーベースが提供する360度フィードバックシステム「CBASE 360°」を採用した。7月15日、シーベースが発表した。上司と部下のミスコミュニケーション解消や組織風土の変革を目指し、管理職以上を対象に全社員で多面的な評価を実施した。今後はシステムを活用した人材の可視化やハラスメント防止教育を進め、変化に強い組織づくりを目指す。
大豊工業は1944年設立の大手自動車部品メーカーで、摩擦や摩耗、潤滑の技術であるトライボロジーをコア技術とし、自動車エンジンや電動化製品向けの高性能部品を開発、製造している。同社では2019年頃から実務を通じた訓練であるOJTを中心に教育体制を整備してきたが、数年が経過しても内容が刷新されず、組織風土が変わらないという停滞感を抱えていた。背景には、上司が部下の成長を支援しきれず、意見が伝わらないといったミスコミュニケーションの常態化があった。指示を与える従来のマネジメントから、部下の答えを引き出し心に寄り添う能力開発の視点を取り入れるため、2025年にリーダー育成の再構築に向けた検討を開始した。
システム選定にあたっては、組織開発の第一人者である南山大学の中村和彦教授の知見が仕組みと連動している点や、コンサルタントのサポート体制を評価した。また、充実したサービスに対するコストパフォーマンスの高さも決め手となり、CBASE 360°の採用に至った。
実際の運用では、フィードバックを受ける対象者を管理職以上とする一方、回答者は役員を含む全社員とした。全社一斉展開に対して現場からは業務負荷への懸念や疑問の声も上がったが、人事担当者が各部署へ直接足を運び、自分を客観的に映し出す鏡としての意義を丁寧に説明して理解を促した。また、データ整備の段階では、名前の表記揺れによるエラー対応や回答者リストの作成に実務上の苦労があった。
導入の効果として、社内に共通言語が誕生したことが挙げられる。共通の設問項目という物差しができ、これまで曖昧だった部署間の壁といった課題に対して具体的な議論が可能になった。また、第三者の視点が数値やフリーコメントで言語化されたことで、受給者は無自覚だった強みや弱みを客観視できるようになり、高い納得感を持って行動変容に向けたマインドシフトを起こしている。
今後は、システム内の人材マップ機能を活用し、会社方針に対する人材像のボリューム感を可視化していく。さらに、ハラスメント解析によって対象を絞った教育を実施し、職場でのハラスメント事前防止や日常のコミュニケーション改善につなげていく。