カプコンは、データドリブン経営の強化とAI活用の加速を目的に、AIデータプラットフォーム「Snowflake」を採用した。7月15日、システムの構築とレポート基盤の統合を支援した日立ソリューションズが発表した。ゲームソフトのデジタル販売拡大に伴うデータ量増加や処理性能の低下といった課題を解消し、レポート作成時間を約80%削減した。今後は整備したデータ基盤を軸にAI活用の本格化を進める。
カプコンは、世界的なゲームメーカーであり、ゲームソフト販売の約90%をデジタルが占め、227の国や地域で事業を展開している。次期コンテンツの内容やリリース時期、価格設定などの開発・販売戦略に向けて多様なデータを蓄積、分析していたが、従来の社内サーバー上の分析基盤では、データ急増による性能低下や運用保守の負担が顕在化していた。また、巨大なデータマート構成によるパフォーマンス低下や、データリカバリに最大8時間を要する点、BIツールである「Tableau」のオンプレミス版とクラウド版の併存によるコスト増やサーバー運用負荷も課題となっていた。
こうした課題を解決するため、カプコンはデータ分析基盤をSnowflakeへ移行し、BI基盤をクラウド型の「Tableau Cloud」へ統一することを決定した。選定にあたっては、双方の製品に高い知見と豊富な実績を持ち、トータルに支援できる日立ソリューションズをパートナーとして採用。自動化プラットフォームを活用し、大型タイトルの発売を控えた2025年2月に本番切り替えを完了した。
新基盤の導入により、Snowflakeの並列処理と柔軟なリソース割り当てによって、レポートデータの作成は従来の約2割の時間で完了するようになった。また、データ復旧時間は最大約8時間から約2時間へと約75%短縮された。さらに、大規模なデータレイクを基盤としつつ用途ごとのデータマートを複数用意する構成に見直したことで、仕様変更への対応工数が削減され、ユーザーの要望に応えやすい環境が整った。Tableau Cloudへの統合によって二重ライセンスによるコスト増やサーバー運用負荷も解消され、事業部門をまたいだデータ共有や分析が容易になっている。
今後は、ゲームの販売データに加え、アミューズメント施設やイベントなどのデータも連携させ、横断的かつ高度な分析を推進していく。また、整備したデータ基盤を活用し、販売予測や異常検知に加え、RAGや自然言語で問い合わせができるAIエージェントの作成・検証など、AI活用の本格化を進めていく。