ボッシュ、動画活用で製造現場の技能伝承を効率化 教育工数を削減

2026年7月16日09:00|ニュースCaseHUB.News編集部
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 ボッシュは、寄居工場における業務効率化と技能伝承の仕組み化を目的に、動画マニュアル「カミナシ 教育」を採用した。7月15日、カミナシが発表した。膨大な紙の手順書や帳票に伴う現場の負担を解消し、熟練者の動きやコツを短い動画に置き換えて可視化することで、教育工数の削減と作業員の習熟度向上につなげた。今後は海外拠点へのノウハウ展開を目指す。

 ボッシュは、ドイツを本拠地とする世界最大級の自動車部品・電動工具・産業機器・家電などを手がける総合機器メーカーである。同社の寄居工場は、ディーゼル燃料噴射装置の基幹部品である「ノズル」を製造する重要拠点だ。同工場では長年、紙の手順書や帳票を大量に使用しており、手順書の種類だけでも1000点以上にのぼっていた。これらの記入や確認にかかる作業時間が現場の大きな負担となっていた。

 また、現場の高齢化が進む中、ベテランの技術を次世代へどう引き継ぐかという技能伝承の属人化も深刻な課題であった。従来の手順書は文章が中心で、重要なポイントは身振り手振りで補うしかなかった。文字や静止画だけでは力加減や動きの速さといった細かなコツが伝えきれず、指導に長時間を要していた。写真を増やして対応しようとすると手順書のページ数が増え、現場での確認作業がさらに煩雑になるといった悪循環に陥っていた。

 こうした状況を打開するため、同工場は動画マニュアルの導入を決めた。選定にあたっては現場が自ら使いこなせる使いやすさを最も重視し、東松山工場の製造部も含めて実際に多くの従業員が試作を行った。スマートフォンなどで撮影した動画をアップロードするだけでテロップが自動生成され、パワーポイントを作成する感覚で簡単に編集できる手軽さが現場の支持を集めた。また、単なるツール提供にとどまらず実務に即した運用面まで伴走する手厚いサポート体制も決め手となった。

 導入のプロセスでは、一度に全体展開するのではなく、各製造部にリーダーを置いて5〜6名のユーザーを配置する小グループ単位でのスモールスタートを採用した。成功事例を、発表会を通じて共有し、徐々に横展開を進めることで現場への定着を図った。

 導入の効果として、これまで8枚にわたっていた紙の手順書を3分未満の動画にまとめたことで、工程全体の流れを直感的に理解できるようになった。紙の手順書に動画へアクセスできるQRコードを貼り、作業員がタブレットから現場ですぐ確認できる体制を整えた。これにより、従来はチームリーダーなどの熟練者が付きっきりで行っていた教育時間が削減された。また、動画として記録したことで、個人の経験に依存していた技術が組織の資産として蓄積され、退職によって技能が失われるリスクを解消した。作業を可視化する過程で重要なポイントが整理され、教える側の理解も深まる効果も出ている。現場からは自発的に他の手順も動画化してほしいという声が上がるなど、継続的な業務改善の動きが広がっている。

 今後は、寄居工場で培った現場改善のノウハウを海外拠点にも広げていきたい考えだ。ボッシュのパワーソリューション事業部製造部門SGM寄居工場長である花田純一氏は、「寄居工場で培った現場改善のノウハウを海外拠点にも広げていきたい」としている。

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