日建レンタコムは、グループ全体の契約書管理基盤としてSansanの取引管理サービス「Contract One」を採用した。11月25日、Sansanが発表した。全国の拠点に分散していた契約書をクラウド上で一元管理することで、ガバナンス体制を強化した。また、検索性の向上により、契約内容の確認業務を効率化し、取引リスクの低減につなげている。
日建レンタコムは、日建レンタコム・グループのホールディングスカンパニー。中核企業の日建リース工業は、建設・物流・福祉介護事業などで資材や機器のレンタル事業を行っている。同グループは合併や再編を繰り返して事業を拡大してきた経緯があり、契約書の管理方法は拠点や事業部ごとに異なっていた。
従来、グループ全体で約4万件を超える契約書の99%が紙で保管されており、法務部門が契約内容や締結数を拠点横断で把握できないことが課題だった。また、建設現場向けのレンタル事業では工事期間の延長に伴う変更契約が発生するが、元となる紙の原契約を確認する手間がかかり、確認漏れによる契約条件の誤解などが生じるリスクもあった。
そこで、全社的な統制強化と現場での管理効率化を目指し、2024年6月にContract Oneを導入した。導入にあたり、Contract Oneが紙の契約書のデータ化作業を代行する点を評価した。自社でデータ化した場合に想定される約3万5000時間の工数を削減しつつ、短期間で一元管理体制を構築できると判断した。
Contract Oneの導入により、全国259拠点に分散していた約4万1000件の契約書データが集約された。これにより、法務部門は契約の種類や数を俯瞰して分析できるようになり、契約件数の多い取引先への電子契約移行を打診するなど、データに基づいた業務改革が可能になったと。
現場レベルでも業務効率が向上している。契約データに基幹システムの事業所番号や案件番号をひも付けて管理することで、法務だけでなく営業や事務担当者も必要な契約書を迅速に検索・閲覧できる環境が整った。契約内容を即座に確認できるようになったことで、顧客に対して契約と異なる条件を提示してしまうリスクも未然に防いでいる。
日建レンタコム 法務部 部長の牛田裕二氏は、「契約管理は長年、拠点ごとに異なる方法が定着していたため、新しい仕組みの浸透には不安があった。しかし、説明会やマニュアル整備を進めた結果、現在では多くの社員が前向きに活用するまでになった。全社的にガバナンスを強化でき、取引における契約管理の土台が以前より強固になったと感じている」と話している。