ワイヤードビーンズ、ECサイトに自律型AI 店舗並みの接客体験で購買率5倍へ

2025年11月25日18:04|ニュースCaseHUB.News編集部
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 ワイヤードビーンズは、自社ECサイトにおける顧客体験の深化を目的に、Salesforceのコマース向けAIエージェント機能「Agentforce」を採用した。11月21日、セールスフォース・ジャパンが発表した。同機能の日本国内での展開は今回が初となる。AIエージェントが店舗スタッフのように自然な対話で接客することで、職人の技術や製品の背景にあるストーリーを伝え、オンライン上での顧客エンゲージメントを強化する。

 ワイヤードビーンズは、職人が手作りするグラスやマグカップなどを販売する仙台発のブランド。「職人とお客様をつなぐ」を理念に掲げ、実店舗とオンラインショップを展開している。同社はこれまでもSalesforceの「B2C Commerce」や「Sales Cloud」などを活用し、販売体制を強化してきた。

 実店舗では、スタッフが対話を通じて職人の想いを伝えることで顧客の共感を呼び、購買につなげていた。一方、ECサイトは「決済機能」としての役割にとどまり、顧客との信頼関係構築が課題となっていた。製品の情緒的価値を伝えるコンテンツへの刷新によりコンバージョン率は約2倍に向上したものの、依然として実店舗の約10分の1にとどまっており、静的なコンテンツによる訴求の限界を感じていた。そこで、オンラインでも対面接客に近い体験を再現するため、Agentforceの導入を決めた。

 今回採用したのは、B2C Commerce上で動作する「Guided Shopping for B2C Storefronts」。AIエージェントが顧客との自然な会話を通じて、商品の発見から購入完了までをサポートする機能だ。

 Agentforceの導入により、従来のメールマガジンのような一方通行の情報発信ではなく、双方向の対話を通じた提案が可能になる。AIエージェントは職人の技術やストーリーを紹介しながら、顧客一人ひとりに最適な提案を行う。また、実店舗とは異なり、AIエージェントは複数の顧客へ同時に対応できるため、ビジネスインパクトも大きいと見込んでいる。同社は今後3年間で、ECサイトのコンバージョン率を5倍、有効会員数を6倍に引き上げる目標を掲げている。将来的にはウェブサイト全体でのAIガイド活用も構想している。

 ワイヤードビーンズ 執行役員 ものづくりグループ マネージャーの三浦英教氏は、「当社は『生涯を添い遂げる』というコンセプトで製品を展開し、アフターサービスには以前からSalesforce製品を活用してきた。今回の導入により、AIエージェントが販売スタッフのように丁寧な接客を行い、ECサイト上で顧客との信頼関係が築けることを期待している。将来的には、想像を超える新たな接客の形が生まれるかもしれない」としている。

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