自動車用の電動パワートレイン・変速機の設計・生産を手がけるジヤトコが、設計・テスト・販売・財務など全社を統合するバックアップシステムを再構築し、Veeam Softwareの「Veeam Data Platform」を採用した。2023年11月、Veeam Softwareが発表した。
ジヤトコは日産自動車のグループ会社で、自動車用変速機の専門メーカーとして50年以上の歴史を持つ。近年、自動車業界の急速な電動化に対応するため、デジタルを活用した変革を推進している。
同社にとって、設計、テスト、調達、生産、販売、財務などの一連のデータは重要な資産であり、事業継続、法令・規格遵守、品質管理、製品トレーサビリティなどを目的にデータ保全に注力してきた。しかし、従来のアプライアンス型ソリューションでは、データ量増加に応じた柔軟な拡張が難しく、投資計画に影響を与えていた。
2021年7月、アプライアンス・ハードウェアのサポート終了を機に、バックアップシステム刷新プロジェクトを開始。当時のデータ容量は40TB、5年後の想定は60TBだった。Veeam Data Platformの採用にあたっては、データ容量増加へのスケーラブルな対応、多様なIT環境への適合、クラウドストレージ対応などが高く評価された。
新システムの導入により、バックアップ関連の総所有コスト(TCO)を約40%削減できる見込みとなった。また、1年半の運用期間中に6000ジョブ・12000回以上のバックアップ処理をエラーなく完了する安定性を実現。さらに、ファイル単位でのリストアや対象データ全体の取得など、状況に応じたリストア方法を容易に選択できるようになり、運用負荷が軽減された。
ジヤトコ デジタルソリューション部 部長の土屋敦氏は「Veeamの採用にあたり、物理サーバーと仮想サーバーの両方に対応していること、汎用ストレージで構築できること、クラウドにもデータを保存できること、操作性が優れていること、永久増分バックアップによりデータ量を削減できることなどを評価し選定した」と語る。
現在、データの保存先にはNetApp製のオンプレミス・ストレージを使用しているが、将来はMicrosoft Azure Storageへの保存も計画している。また、EV用製品の戦略強化を含む事業拡大や変革を支えるべく、攻めのITを社内に提供していく予定だ。今後は、Veeamのサイバーセキュリティ・ソリューションの活用も視野に入れながら、さらなるデータ保全と保護に取り組むことを目指している。
ニュースリリースURL
https://www.veeam.com/jp/company/press-release/jatco.html