西松建設は、社内の申請業務基盤を刷新するため、ワークスアプリケーションズ(WAP)のワークフロー・開発基盤「ArielAirOne Framework」(以下、Ariel)を採用し、全社での本番稼働を開始した。12月3日、WAPが発表した。約400種類に及ぶ稟議書や伺書を一つのアプリケーションに集約したほか、会計システムとのデータ連携により、承認プロセスの効率化とメンテナンス性の向上を図った。
国内外で建設事業を展開する西松建設では、従来利用していた他社のローコード開発ツールにおいて、運用面の課題を抱えていた。管理する帳票の多さに加え、組織変更時の設定変更に手間がかかっていたことや、承認通知が1日1回に限られていたため、決裁スピードの低下を招いていた点がネックとなっていた。
こうした課題を解決するため、会計システムの大規模な刷新に合わせて、申請業務基盤の見直しに着手した。新たな基盤の選定にあたっては、柔軟なローコード開発が可能であることや、多様な帳票に対応できる構築力を評価し、Arielの採用を決定した。また、導入に際してWAPの開発支援サービスを活用できる点も評価された。
Arielの導入により、運用体制とユーザーの利便性は大幅に改善された。管理者側では、約400種類の帳票を一つの申請アプリに集約し、部署コード管理の仕組みを見直したことで、組織改変時の保守作業が容易になった。利用者側では、承認依頼の通知がリアルタイムで届くようになったほか、決裁完了時にも申請者へ即座に通知される仕組みとなり、進捗確認の手間が削減された。現在は国内外の従業員約2000人が利用している。
また、会計システム「HUE」との連携も実装し、申請から会計処理までの一貫したデジタルプロセスを構築した。「給与負担率登録」「設計依頼」「見積依頼」などの業務アプリケーションもAriel上で展開しており、現場業務の効率化にも寄与している。
西松建設 技術戦略室ICTシステム部情報システム課係長の藤門光太郎氏は、「会計システムの刷新に合わせて申請業務の仕組みを見直した結果、約400帳票を集約し、将来的な組織改変にも対応しやすい基盤を整備できた。承認通知がリアルタイムになったことで、承認者と申請者双方の利便性が高まっている。WAPの支援により、実運用に即したアプリ設計ができたことも成功の要因だ」と話している。