かんぽ生命保険は、入院保険金請求手続きの顧客体験(CX)向上と業務効率化を目的に、オプロが提供する電子申請サービス「カミレス」を採用した。2026年2月26日、オプロが発表した。電話とSMS、Webを組み合わせた独自フローの構築により、試行段階で手続き不備0件と最短翌日着金を実現。利用者アンケートでは5段階評価で4.79という高い満足度を得ている。
全国に2万を超える郵便局ネットワークを持つかんぽ生命は、年間約140万件にのぼる保険金請求の約9割を対面で受け付けている。Web請求の仕組みは存在していたが、高齢の利用者などにとってスマートフォンのみで完結する手続きはハードルが高く、デジタル非対応層の取り残しが課題となっていた。また、コールセンターで電話による申し出を受けても、書類の郵送や来店を促す必要があり、着金までに時間を要するほか、書類の記入漏れといった不備対応が業務負担となっていた。
こうした背景から同社は、中期経営計画に掲げる「お客さま体験価値(CX)の向上」を推進するため、カミレスの導入を決めた。選定にあたり、優れたユーザーインターフェース(UI)に加え、金融機関が求める厳格なセキュリティ要件をクリアしている点を評価した。また、従来の自社専用システムを一から開発する手法ではなく、パッケージの標準機能に業務を合わせる「Fit to Standard」を採用。これにより、導入決定から2カ月という短期間でのサービス開始に漕ぎ着けた。
2025年3月から一部顧客向けに開始された新サービスでは、コミュニケーターが通話中にSMSを送信し、顧客が書類をアップロードする間も電話を切らずにサポートを継続する独自の運用フローを構築した。カメラの撮影方法や操作手順を丁寧に案内することで、デジタル操作に不慣れな層でも迷わず手続きを完了できる環境を整備。郵送プロセスを排除したことで、最短翌日の保険金着金が可能になった。
新システムの導入は、定量・定性の両面で成果をもたらしている。手続きのしやすさを問うアンケートでは5段階中4.79の評価を獲得し、利用者からは「電話してすぐに手続きが終わり、翌日に入金されて感動した」といった声が寄せられている。財務面でも、郵送コストの削減やバックオフィスでの開封・入力作業の省力化、郵便局への問い合わせ減少といったメリットが表れている。
同社は2025年10月から、この取り組みを全拠点のコミュニケーターが対応できる体制へと拡大した。今後はカミレスの活用範囲をさらに広げ、デジタル技術で対面の温かさを拡張する顧客体験を追求していく。
かんぽ生命カスタマーサービス推進部長の田代康基氏は、これまでは業務に合わせてシステムを作る文化だったが、今回はカミレスの機能に業務を合わせる手法に挑戦したと振り返る。通話時間は延びたものの、顧客を迷わせずその場で手続きを完了させる価値を優先した結果、コールセンター業務で感動という言葉をもらえるようになったことは、コミュニケーターの励みにもなっていると語っている。