国土交通省東京航空局は、羽田空港の制限区域内におけるレベル4自動運転の実用化に向けて、NECの「東京国際空港制限区域内車両制御用設備」を採用した。8月23日、NECが発表した。NECは2025年12月の運用開始を目指し、同設備の整備を進める。
近年、旅客需要の回復に伴い、空港業務の省力化、効率化が急務となっている。国土交通省では、手荷物や貨物を運ぶトーイングトラクターや、旅客を輸送するバスなどの自動運転化に向けた実証実験を進めている。
レベル4自動運転は、限定された区域内において、システムが車両の運転操作を全て行う高度な自動運転を指す。羽田空港の制限区域は、航空機の安全確保のため、有人車両と自動運転車両が混在する複雑な交通環境である。安全かつ円滑な空港運用を実現するには、関係事業者が共通利用できるデジタルインフラの整備が必須となる。
NECは、長年培ってきた航空管制システムや空港関連システムの構築実績を生かし、車両制御用設備の整備を担当する。同設備は、空港制限区域内の交差点において、有人車両と自動運転車両の交通整理を行う信号制御機能、自動運転車両だけでは見通しの確保が困難な場所に設置したカメラの映像を関係者に配信する状態監視機能、関係者間で情報共有を行う情報共有機能などを備えている。
NECは、今回の設備整備を通じ、羽田空港におけるレベル4自動運転の実現に貢献する。将来的には、航空機の運航と制限区域内における自動運転車両とのシステム連携も視野に入れ、さらなる空港業務の効率化を目指す。