パチンコチェーンを展開する岩下兄弟は、請求書や納品書の処理業務効率化を目的に、インフォマートの「BtoBプラットフォーム 請求書」「BtoBプラットフォーム TRADE」を導入した。10月24日、インフォマートが発表した。紙の請求書処理や煩雑な承認リレーといった課題を解消し、請求書処理にかかる作業を月間400~500時間削減したという。今後は消耗品発注などにも活用を広げ、蓄積したデータをAI分析に活用することも見据える。
岩下兄弟は、熊本県と宮崎県内でパチンコホール「モナコパレス」「銀馬車」を23店舗運営している。従来、約200社から月間最大1000枚の紙の請求書が各店舗や本部に届いていた。請求書受領から支払いまでが約15日とタイトで、連休月はさらに業務がひっ迫していたという。また、店舗での請求書紛失リスクや、店舗と本部で押印を繰り返す非効率な承認リレーも課題となっていた。景品発注も各店舗が個別に行っていたため、仕入れ価格が統一されず、本部での支払状況の把握が困難だった。
BtoBプラットフォーム 請求書とBtoBプラットフォーム TRADEを導入したきっかけは、2016年に取引先からBtoBプラットフォーム 請求書による電子請求書受領の依頼があったことだという。請求書をPDFなどに変換せずデジタルデータのままやり取りできる「データtoデータ方式」である点や、画面上で店舗・本部・役職者など複数人が確認できる点を評価した。不透明だった承認リレーを解消し、ガバナンス強化につながることも採用の決め手となった。
BtoBプラットフォーム 請求書の導入により、請求書処理にかかる作業は月間6~7日分、時間に換算して400~500時間の削減を実現した。紙で残る請求書も、AI-OCRとオペレーターが正確に自動でデータ化する請求書受領システム「BP Storage for 請求書 受取」で処理することで、受取請求書の9割をデジタルで一元管理できている。ファイリング作業も大幅に減り、創出された時間をデータ分析や仕入れの見直しといった戦略的な業務に充てられるようになった。また、2020年7月の熊本豪雨の際も、請求書が電子化されていたことで支払いを遅滞なく行え、BCP(事業継続計画)対策にも貢献したという。
さらに、BtoBプラットフォーム TRADEの導入で景品発注業務も改善した。店舗ごとにバラバラだった景品発注を本部で可視化し、仕入れ商品の統一化や複数業者への一括発注が可能になった。取引先13社から毎月500枚届いていた納品書もデジタル化され、請求書との照合作業にかかる時間も削減された。
今後は、景品だけでなく消耗品の発注や工事の依頼管理にもBtoBプラットフォーム TRADEの活用を広げる計画だ。岩下兄弟の総務管理部 副部長は、「当社のマーケティングでは、競合との差別化を進める上で緻密なデータ分析が欠かせない。この分析にAIを活用し、その成果を戦略立案の基盤とすることを目指している」としている。