柏市役所、給食費請求書処理を効率化 52校分を2名で、年間1000時間削減

2025年8月28日16:11|ニュースCaseHUB.News編集部
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 柏市役所は、学校給食費の公会計化に伴う請求書処理の効率化を目的に「TOKIUMインボイス」を採用した。8月27日、「TOKIUMインボイス」を提供するTOKIUMが発表した。月間100時間以上かかると想定されていた処理工数を50分の1に短縮し、年間で1000時間以上の業務時間削減を見込む。今後は蓄積したデータを活用し、財務分析や戦略的な提案につなげる。

 柏市では2025年4月から、教職員の負担軽減などを目的に、各学校で給食費の徴収・管理を行う「私会計制」から、自治体が徴収・管理する「公会計制」へ移行した。これに伴い、これまで市内52の小中学校が個別に行っていた食材費の請求書処理から支払いまでの業務が、学校給食課に集約されることとなった。

 公会計化後、学校給食課のわずか2名が、40社の仕入れ先から届く月間600枚以上の請求書を処理する必要に迫られた。市の財務規則上、支払い依頼までの期間は実質10日程度と短く、1件10分で処理しても合計100時間以上かかると試算された。限られた人員と時間で膨大な業務を処理するためには、既存の業務プロセスのままでは立ち行かなくなるとの強い危機感があり、システム導入の検討を開始した。

 システムの選定にあたり、市の業務を効率化しつつ、仕入れ先や学校側に新たな負担をかけない業務プロセスの構築を重視した。TOKIUMインボイスは、手書きの請求書でも高精度にデータ化できる点や、AI-OCRと専任オペレーターの組み合わせでデータ入力の精度が担保されている点、多様な仕入れ先を考慮した郵送での請求書受領に対応している点などを評価し、採用を決めた。

 導入プロジェクトでは、TOKIUMの担当者が業務フローを提案したことで、当初2000件以上必要と見られていたマスタ作成が40件に抑えられ、導入負荷が大幅に軽減された。また、市独自の会計システムと連携するための専用フォーマット開発などの支援も受けた。市側でも、請求書の様式統一や、学校職員および仕入れ先への丁寧な説明会を繰り返し実施することで、円滑な移行を実現した。

 TOKIUMインボイスの活用により、請求書処理は劇的に効率化された。月間約100時間かかると見込まれていた作業は、約2時間で完了するようになり、当初2名体制を想定していた業務は1名で完結できるようになった。創出された人員は他の業務に充てられている。また、月に600件以上発生する請求書も、わずか2営業日程度で処理が完了し、支払い期限にも余裕をもって対応できるようになった。

 柏市役所 教育総務部 学校給食課は今後の展望について、「将来的には、システムで収集したデータを活用し、より高度な財務分析と戦略的な提案を行える部門を目指したい。各学校の給食費収支データを分析し、予算の適正な執行をサポートすることや、データに基づき仕入れ先の選定を促すことで、より公平な取引を実現していきたい」としている。

ニュースリリース