札幌市民交流プラザ、AIチャットボット活用で月400件の問い合わせ対応を自動化

2025年12月15日23:07|ニュースCaseHUB.News編集部
x
hatebu

 札幌市民交流プラザは、AIチャットボット「Tebot」を活用し、月平均約400件の問い合わせ対応を自動化した。12月15日、Tebotを提供するアノテテが発表した。窓口業務や電話対応の負荷を軽減し、市民の利便性を向上させた。今後は組織内のナレッジ共有にも活用範囲を広げる考えだ。

 札幌市民交流プラザは、札幌文化芸術劇場「hitaru」、札幌文化芸術交流センター「SCARTS」、札幌市図書・情報館の三つの機能を持つ複合文化施設。開館時間が午前9時から午後10時までと長時間に及ぶ一方、限られた人員で窓口業務と電話・メール対応を並行して行う必要があった。2021年のコロナ禍明けに伴い来館者が回復すると、応対時間の増加や返信速度の遅れが課題となっていた。加えて、利用者の目的が多岐にわたるため、質問内容も複雑化していた。

 そこで同施設は、業務効率化とウェブサイトのリニューアルを機に、AIチャットボットの導入を決定した。選定にあたっては、利用者が入力する言葉から質問の意図をAIが類推できる点を重視した。単なるキーワードマッチングではなく、利用者の自然な言葉に寄り添った回答が可能になる点を評価したほか、初期費用やランニングコストが低く、費用対効果が高い点も採用の決め手となった。

 2022年からTebotの利用を開始し、シナリオ型(選択式)とAI型(自由入力式)を併用して運用している。導入時には、どのような質問が来るか、適切に回答できるかといった懸念もあったが、ノーコードで簡単にQ&Aを登録できる利点などを活かし、運用しながら回答精度を調整することでスムーズな定着を図った。

20251215_sapporo.png
札幌市民交流プラザのTebotの利用イメージ

 導入の効果として、月平均400件前後の問い合わせをチャットボットで処理できるようになった。AI型の回答精度は約80%に達しており、担当者の業務負担が軽減されたことで、他のコア業務に集中できる環境が整った。また、Tebotのレポート機能を活用することで「利用者が知りたいこと」が可視化された。回答できなかった質問を分析し、回答リストを調整するなど、継続的な改善サイクルも確立されている。

 今後は、組織内部での活用も視野に入れている。同施設を運営する札幌市芸術文化財団では施設ごとの専門知識やルールが多く、職員の異動も頻繁にあるため、担当者間で共有すべき情報をチャットボットに集約する方針だ。これにより、引き継ぎ業務の効率化や教育コストの削減につなげたいとしている。

 札幌市民交流プラザ 市民交流プラザ事業部 広報営業課の担当者は、「Tebotは簡単な操作でQ&Aを登録でき、ノーコードでシナリオ作成も可能なため、無理なく運用できている。今後は高い技術力を生かし、内部向けのナレッジ共有など活用の幅を広げていきたい」と話している。

ニュースリリース