イチビキは、主要製造拠点である第2工場において社内コミュニケーションツール「カミナシ 従業員」の運用を開始した。8月25日、カミナシが発表した。紙の回覧による伝達遅延や連絡手段の乱立を解消し、部署間の迅速な連携体制を整備した。工場起因のクレーム件数を大幅に削減したほか、現場からの自発的な報告件数を増やすなど、品質管理体制の強化につなげている。
東海地方を中心に味噌や醤油などの食品製造を手がけるイチビキの第2工場では、200種類に及ぶ豆関連商品やつゆ類などを製造している。現場では日本人従業員やパートに加え、ベトナムやミャンマー、タイなど多国籍の技能実習生約60名が従事している。
同工場ではこれまで、業務連絡やルールの伝達を日本語で書かれた紙の回覧とサイン方式で行っていた。しかし、頻繁に改定される品質基準が現場全体に正確に伝わりきらず、機械の設定ミスやトラブルが1日1件程度発生していた。また、交代制勤務による従業員同士の情報共有の難しさに加え、技能実習生からの欠勤連絡などが現場管理者の個人SNSへ夜間や休日を問わず届き、管理者の業務負担が過重になっていた。
こうした課題を解決するため、同社は社内コミュニケーション基盤としてカミナシ 従業員を採用した。他社ツールと比較検討するなかで、機能がシンプルで見やすい点、お知らせ機能とチャット機能を備えている点、自動翻訳機能により国籍を問わず円滑に対話できる点を評価した。あわせて、現場の正社員にスマートフォンを1人1台支給し、利用環境を整備した。
カミナシ 従業員の運用開始により、製造、品質管理、出荷の3部門が一斉チャットでタイムリーに情報共有できる体制が確立された。製造現場で異常が発生した際も、関係部門へ即座に情報が伝達され、品質管理からの指示や出荷停止などの判断を迅速に行えるようになった。これにより、工場起因のクレーム件数は直近4年の平均値と比べて58%減少した。さらに、現場からの自発的な報告件数は約2倍に増加し、些細な異音や兆候を早期に捉えてトラブルを未然に防げるようになった。
技能実習生との連絡窓口も一本化され、管理者の個人SNSへの連絡は皆無となった。実習生の寮ごとにグループを作成して生活ルールを周知したことで、近隣トラブルの解消にも寄与した。また、ツールの活用を通じて現場改善の提案などを積極的に発信する中堅従業員の知見が可視化され、適正な人事評価や役職登用につながる副次的な効果も出ている。
イチビキは今後、第2工場での成果を足がかりに生産部門の全4工場やグループ全体への展開を視野に入れ、さらなる業務プロセスの改善を進める構想だ。