光和精鉱は、産業廃棄物処理業務を支える基幹システム「産廃管理システム」を刷新した。11月27日、システムの開発を支援したソルネットが発表した。20年以上稼働していた旧システムの老朽化に伴う業務の硬直化を解消した。在庫状況のリアルタイム可視化や受付業務の自動化により、顧客利便性の向上と業務効率化につなげている。
光和精鉱は、製鉄用のペレット製造や産業廃棄物処理を手掛ける企業。塩素や重金属を含む廃棄物の処理技術に強みを持つ。同社は2000年代初頭、循環型社会形成推進基本法の施行を機に、ソルネットの支援のもと「営業情報システム」と「産廃管理システム」を構築した。しかし、稼働から20年が経過し、度重なる改修によるシステムの複雑化や属人化が進行。手書き日報などのアナログ業務も残存し、業務変革の足かせとなっていた。
そこで同社は、2030年に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)構想「光和DX」の一環として、基幹システムの刷新を決断した。開発パートナーには、長年の実績があるソルネットを選定。JBCCグループが提供するアジャイル開発手法「JBアジャイル」とローコード開発ツール「GeneXus」を採用した。開発プロジェクトは経営層の後押しを受けてワンチーム体制で進行し、業務とシステムの最適化に取り組んだ。
新システムの開発にあたっては、現行機能の棚卸しを実施し、システムの機能を約29%スリム化した。また、実際の画面を用いたプロトタイプ開発を行うことで、現場の具体的な要望や認識のずれを早期に解消した。
システム刷新の主な効果として、廃棄物の在庫・置き場状況のリアルタイム可視化が挙げられる。これにより、顧客向けWeb見積予約サービス「KOWAねっと」上で、受入可否状況を「〇△×」で表示できるようになり、顧客の利便性が向上した。
また、トラック搬入時の受付業務も刷新した。予約時に発行されるQRコードをドライバーが読み取ることで、受付の無人化を実現した。受付情報は即座にデータ化されるため、従来の手入力作業に要していた月間60時間の業務時間を削減できたほか、トラックの滞留状況の把握も可能になった。
光和精鉱業務部物流管理課長の吉松純一郎氏は、「在庫置き場のリアルタイム可視化が実現したことの価値は大きい。QRコード利用者は増加しており、さらなる効果を期待している」としている。また、同社取締役総務部長兼業務変革推進室長の有働康之氏は、「今回の刷新は光和DXの目指す姿の3割程度だが、将来のための基盤づくりができた。今後は全社統合データベースの構築やAI活用による操業最適化などに取り組んでいきたい」と話している。