大和物流は、全国約60拠点の勤怠管理業務の効率化を目的に、勤次郎のクラウド型勤怠管理システム「Universal 勤次郎」へ移行した。7月31日、同システムを提供する勤次郎が発表した。勤怠情報がリアルタイムで反映されるようになり、従来は丸一日以上かかることもあった月末の締め作業の負担を大幅に軽減した。今後は蓄積されたデータを活用し、働き方の「見える化」を目指す。
同社は、大和ハウス工業の物流部門を祖とし、建築・建材分野を中核に事業を展開。全国に約60の拠点を構えている。これまで15年にわたり、オンプレミス型の旧勤怠管理システムを利用してきたが、勤怠情報がリアルタイムで把握できない点に課題を抱えていた。特に月末には、各拠点からの修正連絡を受けてから本社側で計算処理を行う必要があり、その対応に丸一日以上を要することもあった。
2022年6月のInternet Explorerのサポート終了を機に、システム刷新の検討を開始。長年の利用実績から旧システムの設定を継承できる点を評価し、他社製品への切り替えは考えなかった。後継のクラウドサービスであるUniversal 勤次郎は、従来の設定の自由度を維持しつつ、直感的な操作が可能な画面構成や、申請・承認フローの可視化などUI/UXが向上している点、将来的な法改正や勤務形態の多様化に柔軟に対応できる点を評価し、採用を決めた。
Universal 勤次郎への移行により、課題であった勤怠情報の即時反映が可能になり、月末の拠点とのやりとりや本社での計算処理といった手間が解消され、業務効率が大幅に向上した。また、従来は紙で管理していた36協定の適用状況や時間外労働の集計もシステム上で完結できるようになり、ペーパーレス化とともにミスや工数の削減につながっている。人事部労務管理グループ長の福山直子氏は、「システム内で自動的に集計され、トップページでも時間外労働時間を確認できるようになったことで、管理の負担が大きく軽減された」と話している。
導入にあたり、旧システムの操作画面や用語を引き継いだことで、従業員も混乱なく新システムへ移行できた。スマートフォンでの打刻や各種申請・承認機能も活用を開始し、事務所に立ち寄らずに業務を開始できるため、特に現場へ直行する従業員の業務効率向上に貢献している。PCのログオン・ログオフ時間と勤務実績を同じ画面で確認できるようになったことで、勤怠データとの乖離確認も容易になった。
今後は、システムに蓄積された勤怠データを活用し、従業員の働き方を「見える化」していくことを目指す。同グループ担当課長の有馬未来氏は、「日々の勤怠管理の精度を高め、業務全体の効率化を実現するところからしっかりと取り組み、段階的に分析やマネジメントへの応用にもつなげていきたい」と今後の展望を語っている。