レンタルのニッケンは、Sansanが提供する経理DXサービス「Bill One」を国内の全拠点に導入した。10月16日、Sansanが発表した。年間約27万6000件に及ぶ請求書の処理業務を自動化した結果、年間約1億2000万円のコストと1万4000時間以上の業務削減につながった。今後はデジタル化をさらに進め、DXによる効果を広範な業界へ浸透させたい考えだ。
三菱商事グループのレンタルのニッケンは、全国250拠点で建設機械やイベント用機械など約120万点の商品レンタルを総合的に展開している。同社はレンタル業の特性として、他業者から借りた商品を再び貸し出すWレンタルや、貸出品の保守・修理も行うため、年間約27万6000件の膨大な請求書を受領していた。
従来、Wレンタルに関わる請求書は社外の事務センターに委託して処理しており、委託コストが発生していた。それ以外の請求書も、紙での受け取りやデータ入力、支払予定情報との照合を営業所の担当者が手作業で行っていたため、大きな業務負担となっていた。また、レンタル業では貸出期間の変動により取引金額が変わりやすく、紙の請求書では支払予定情報との照合に時間がかかり、内容の不一致をすぐに検知・確認することが困難だった。
同社は、将来の人手不足も見据えた「ニッケングリーンカンパニー構想」という中長期経営計画を掲げ、労働集約型ビジネスからの脱却を目指し、ITを活用した業務プロセスの刷新に注力していた。この戦略的な取り組みの一環として、外部委託コストの削減、営業所の業務効率化、管理体制の強化を目的に、請求書のデジタル化と処理業務の自動化を進めるためBill Oneの導入を決めた。
Bill Oneは、取引先から届く紙の請求書を代理受領し、99.9%の精度でデータ化してクラウドへアップロードする機能を持つ。レンタルのニッケンはBill Oneで年間約27万6000件に及ぶ請求書のデータ化を自動化した。さらに、独自に構築した基幹システムとBill Oneでデータ化された請求書を自動連携させ、基幹システム側で作成した支払予定情報と請求書の照合も自動化した。
この業務フローの自動化により、外部委託の事務センターが対応していた請求書の受領や確認、支払予定情報との照合業務を大幅に削減した。請求書のデジタル化で紙の請求書の郵送や保管スペースも不要になったことから、年間約1億2000万円のコスト削減を実現した。また、営業所担当者の工数も大幅に削減され、年間1万4000時間以上の業務削減につながった。
管理体制についても、基幹システムがBill Oneからの請求書データと支払予定情報を自動で照合し、担当者はその結果からBill Oneの請求書データをすぐに確認できる仕組みを構築した。これにより、担当者は請求書との不一致を早期に把握でき、仕入先との確認も迅速に行えるようになり、誤った支払いのリスクが低減した。
レンタルのニッケン 執行役員 管理本部 副本部長の綱一馬氏は、特に請求書業務の電子化について「外部委託を中心とするコストの削減と、全従業員の就業体験を変えることを目指した」とコメントしている。導入から1年で1万事業所以上の取引先にBill Oneの活用が広がり、受領する請求書のうち電子データでの受領率は80%以上になっているという。