岐阜県庁は、知事部局等の職員約7000人が、業務PC1台で庁外でも業務ができるテレワーク環境を、ゼロトラストセキュリティのモデルで整備した。ネットワンシステムズが構築し、2026年2月から稼働している。10月8日、同社が発表した。従来は、閉域SIMを組み込んだテレワーク専用PC1500台を職員に貸し出していた。
従来の岐阜県庁は、通信先を庁内に制限した閉域SIMを組み込んだ、テレワーク専用PC1500台を職員に貸し出し、セキュリティを保ったテレワークを行っていた。今回は、デジタル庁が示すゼロトラストアーキテクチャと、一人一台のPCによる柔軟な働き方の方向性を踏まえ、職員の働き方改革と業務効率の向上、災害対応など有事の業務継続を目的に、全職員が業務PC1台で庁外でも業務をできる環境を整えた。
環境の特徴は三つある。一つ目は、堅牢なセキュリティだ。Palo Alto Networksのクラウド型SASE(Secure Access Service Edge)サービス「Prisma Access」を採用し、インターネット環境から庁内システムへ安全に接続する。SASEへの接続には多要素認証を使い、不正アクセスを防ぐ。二つ目は、PCの紛失や不正アクセスへの対処だ。PCを紛失した際は、遠隔からデータを消去でき、SASEと庁内の通信ログを常時監視することで、不正アクセスなどが起きた際に迅速に対処できる。三つ目は、テレワークを支えるネットワーク環境だ。利用者が大幅に増えることを見据え、SASEと庁内ネットワークの接続点に、低遅延・広帯域の回線を採用した。
岐阜県の総合企画部未来創成局は、従来のテレワーク環境が、認証機能を特定のデータセンターに集約する方式だったため、利用が集中すると接続が不安定になる懸念があったと説明する。クラウド上に分散するSASEへ移行することで、多数の同時利用でも安定した接続を見込む。整備では、ネットワークの制御とセキュリティの制御を1社が担う「シングルベンダーSASE」を採用し、その中でも特にセキュリティが堅固と考えるPrisma Accessを選んだ。強固なセキュリティの担保は、県民からの信頼の維持に直結すると考える。
岐阜県庁は現在、三層分離の「α'モデル」を採用し、堅牢なセキュリティを保ちつつ、ローカルブレイクアウトの技術で特定のクラウドを使えるようにしている。α'モデルは、職員が主に使う端末や業務システムを、LGWAN接続系に置く方式だ。今後は、クラウドの利用拡大を見据え、インターネットを中心とする新しい三層分離の「β'モデル」へ、2029年1月に移行することを検討している。β'モデルは、職員が主に使う端末や業務システムを、インターネット接続系に置く方式で、今回整備したゼロトラストの環境を生かして、システムの最適化を図る。
同局は「強固なセキュリティの担保は、県民の皆様からの信頼維持に直結するものと考える。今後も本件のシステム基盤を支えるパートナーとして、全体を俯瞰した設計から運用まで、包括的な支援を期待している」と話している。