遊技機の筐体を手がけるジーグは、技術基盤のサポート終了を控えた旧Web-EDIを、YEデジタル Kyushu(YDK)のクラウド型Web-EDIサービス「MONQX EDI(モノクロス EDI)」に置き換えた。2025年11月に本番稼働し、新旧の並行稼働ができない中、ある日を境に一発で切り替えた。10月7日、YDKが事例を公開した。基幹システムの導入と保守を担う日本コンピュータシステムを含む、三社で進めた。
ジーグは、サミーとユニバーサルエンターテインメントの合弁会社として、2016年3月に創業した。パチンコやパチスロなどの遊技機の筐体と、関連する部品の仕入、製造、開発、販売を手がける。従業員は115人で、基幹システムには、製造業向けの「mcframe」を使い、導入から保守までを日本コンピュータシステムが担っている。
見直しは、2024年9月ごろに始まった。使っていた旧Web-EDIの技術基盤(ミドルウェア)が、当時の情報で2027年7月にサポート切れとなるためだ。同じベンダーの別のWeb-EDIへ切り替える案もあったが、保守体制や連携の速さ、開発内容に課題があり、別のベンダーへの乗り換えを考えた。日本コンピュータシステムが、mcframeとの連携実績のあるWeb-EDIを調べ、10社のリストを出した。
選定の基準は、法令の遵守とカスタマイズ性の2つだ。ジーグは規制産業にあり、帳票のルールも独特で、システムに各法令に対応する機能が必要だった。既存のシステムを社内で使いやすいようにカスタマイズしてきたため、その独自の仕様を再現できる柔軟さも求めた。10社にRFI(情報提供依頼書)を送り、回答のあった5社に具体的な提案を求めたところ、全ての条件を満たす提案を出したのはYDKだけだった。検討当初は、YDKが九州に拠点を置くことから連携面に懸念があり、候補から外すことも考えた。しかし、2回ほどのWeb会議を経て、円滑に連携できると判断した。
移行は、旧Web-EDIの仕様をそのままMONQX EDIに移植する、現状維持に近い形で進めた。旧Web-EDIは、その時々の要望を付け足す形でカスタマイズされ、中身が絡み合っていた。細かなロジックやデータベースの構造がドキュメントに残っておらず、ブラックボックスの状態だった。日本コンピュータシステムが、旧Web-EDIの挙動を調べて仕様を洗い出し、YDKに伝える作業を繰り返した。MONQX EDIでは本来できない種類のカスタマイズも含まれており、YDKは、技術的な工夫を重ねて、求められる動きを再現した。
新旧のWeb-EDIの並行稼働は、ジーグ側の事情でできなかった。ある日を境に旧を止め、新へ一発で切り替える必要があったため、開発は、試作品を早く作って検証と改善を重ねる、プロトタイプ開発で進めた。三社がリスクを一つずつつぶし、フィードバックは、数日でYDKが反映した。データ移行の当日と本番の稼働は、スムーズに進んだ。
運用を始めた後に、多少の不都合はあったが、現場は「使いやすくなった」と評価している。旧Web-EDIには、現場の従業員も不満を抱えていた。保守の窓口は、日本コンピュータシステムがまず、原因がmcframeとMONQX EDIのどちらにあるかを切り分け、MONQX EDI側の対応が必要な場合は、YDKへ渡す体制だ。
ジーグは今後、遊技機業界で「ジーグ」ブランドの筐体を定着させるため、システムを強化する。在庫の可視化と適正化をはじめ、取り組むべきことは多い。mcframeも見直しの時期にあり、バージョンアップや基幹システム全体の見直しが今後の検討課題となる。