「JOYSOUND」ブランドで知られる業務用カラオケを運営するエクシングが、同社のエンタープライズストレージをインフィニダットの「InfiniBox」プラットフォームに集約し、従来比約80%減のコスト削減を実現した。2023年11月、インフィニダットが発表した。
カラオケ業界にとってストレージは最重要ともいえるインフラである。カラオケに収録される曲数は毎年数万曲レベルで増加し、音データはMIDIから生音へ、動画の画質はSDからHDへと変化することでデータ量は加速度的に増大し続けているからだ。
エクシングではこのデータ増に対応して大容量の製品を短期間の検討で導入してきたため、ストレージシステムは複雑になり、メーカー4社の27台になるストレージアレイが稼働していた。このストレージシステムが、同社にメンテナンスの負荷とコストの増大という課題を突き付けていた。今後のデータ量増大も考慮すると、運用の簡素化、コストの削減を実現する、少数でスケーラブルなエンタープライズストレージアレイの構築が急務だった。
こうした中でエクシングは、2018年にInfiniBoxをストレージプラットフォームに採用した。エクシング 基盤戦略グループ チーフコンダクターの酒井明広氏は、選定理由を次のように述べている。
「非常に安定性が高いということがインフィニダット製品の導入に踏み切った最大の理由。インフィニダット製品であれば規模が大きくなっても高い性能を発揮し、技術的な問題の可能性も低いという期待があった」
27台のストレージを1台のInfiniBoxに集約することで、従来のストレージ機器構成で発生していた機材費と保守費の大幅な低減を実現している。そして導入してからの5年間、ダウンタイムがなく、常に高い信頼性のもとでアップタイムを維持できた。
エクシングはその後のデータ量の増大を受け、2022年末にさらに大容量のInfiniBoxへの移行を決定。インフィニダット製品は導入モデルの柔軟性が高く、エクシングが採用したCapacity-on-Demandモデルによってコスト効率はさらに高まっているという。エクシングは今回、基本容量1.5PB(ペタバイト)を導入し、余剰容量として0.5PBを確保した。
エクシング 基盤戦略グループでストレージ導入を率いた今村嘉英氏は、今回の増強について次のように述べている。
「新しいストレージの設計は1週間程度で完了した。他社製品では1か月程度を要していたと思う」
また酒井氏は次のように評価している。
「インフィニダットの『Set it and forget it』(一度設定すればもうさわらなくてよい)というアプローチは確かにそのとおりで、チームにとってストレージに悩まされる作業がなくなった。あわせてパフォーマンスについても、以前のストレージシステムと比較してIOPSが5倍に向上し、システムとしての効率性が大きく高まった」
エクシングは今後、インフィニダットが現在オンプレミスとクラウドの境界を越えて提供しているハイブリッドクラウド統合機能を活用することを予定している。さらに、最初に導入したInfiniBoxを高性能なセカンダリストレージソリューションとすることで、DR(災害復旧)対策とBCP(事業継続計画)のための強固な基盤として活用していく計画だ。