上智学院は、人事部門のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するため、インフォマートが提供する電子契約サービス「BtoBプラットフォーム 契約書」を採用した。1月7日、インフォマートが発表した。年1000件を超える雇用契約業務を電子化したことで、従来2週間を要していた事務作業を半日に短縮した。今後は契約データの活用による業務の高度化や、他領域への展開を目指す。
上智大学などを運営する上智学院は、非常勤講師や嘱託職員を合わせて年間約1180件の雇用契約を締結している。従来、これらの契約更新業務はすべて紙ベースで行われていた。対象者ごとに契約書を印刷し、内容の読み合わせ確認を経て、教職員証や就業規則などの書類とともにレターパックで郵送する手順を踏んでいたが、印刷だけで数時間を要し、内容確認に丸2日、封入作業まで含めると2人がかりで2週間もの時間が費やされていた。
さらに、郵送費などの直接的なコストに加え、契約書の回収遅延も大きな課題だった。初回の送付で返送されるのは全体の約6割にとどまり、未回収者への催促を個別にメールで行うなど、管理業務が現場の大きな負担となっていた。こうした状況下、コロナ禍による採用手続きのオンライン化という社会的な要請を受け、同学院は契約業務のデジタル化を検討した。
複数のサービスを比較検討する中、BtoBプラットフォーム 契約書を採用した。選定にあたっては、契約書の取り交わしに特化したシンプルな機能性と、コストパフォーマンスの高さを評価した。特に、契約業務が集中する時期以外の固定費を抑えられる「基本料金と従量料金」の体系が、年2回の契約更新が主となる大学の運用形態に合致した。導入に際しては、初期費用が抑えられたことで、スモールスタートとして着手しやすかった点も決め手となった。
導入後の効果は顕著で、雇用契約に関する業務負担は大幅に軽減された。初回こそ帳票の設定に時間を要したものの、2回目以降はデータ投入作業が半日で完了するようになった。また、システム上で締結ステータスをリアルタイムに一元管理でき、未締結者の把握が容易になり、督促が必要な件数は従来の2割から1割程度に減少。早期回収率は9割近くに向上し、給与支払いに向けた事務手続きの迅速化が図られた。
物理的なメリットとして、ペーパーレス化による保管コストの削減も進んでいる。従来は人事部門のキャビネットを埋め尽くしていた大量の雇用契約書がデータ化され、検索性も飛躍的に向上した。事務作業の効率化により創出された時間は、人事諸制度の見直しといった企画・立案業務に充てられている。
上智学院は今後、今回の成果をモデルケースとして、個人との契約が増加している業務委託契約などの領域にも電子契約の適用範囲を広げていく方針だ。
上智学院人事局人事グループ長の平野氏は、「大学全体でDXを推進する中で、今回の取り組みは人事部門における大きな成果だ。今後はさらなる業務の質的向上に取り組んでいきたい」としている。