新晃工業、ABEJA Platformで設計業務効率化

2024年9月30日23:10|ニュースCaseHUB.News編集部
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 新晃工業は、セントラル空調機の設計業務効率化を図るため、AIとLLMを活用した新たな設計サポートシステム「SINKO AI Design Link」を構築した。9月30日、ABEJAが発表した。

 新晃工業は、大型ビルや工場、病院などで使用されるセントラル空調機器の総合メーカー。顧客ごとに異なる要求に応じた製品を提供するため、設計業務はビジネスの価値を決める重要な業務プロセスとなっている。

 一方で、高いカスタム性を強みとしてきたため標準化が難しく、ベテラン設計者への依存度が高く、人材育成の負担が課題となっていた。

 新晃工業はABEJAと連携し、「ABEJA Platform」を活用した新たな設計サポートシステム「SINKO AI Design Link」を構築した。同システムは、新晃工業が保有する設計や技術に関する膨大な既存データをABEJA Platform上でデータベース化し、検索、分析、設計の深掘り、指南など多様な機能と「ABEJA LLM Series」を融合させたものだ。「ABEJA LLM Series」は、ABEJAが開発した大規模言語モデル(LLM)である。

 新晃工業では従来、設計業務に関する複雑な情報は属人的に管理されており、ベテラン設計者への依存度が高くなっていた。新システムでは、これらの情報をデータ化し、自然言語を用いたチャット形式のUIで、設計者が質問や情報要求を入力し、必要な情報の引き出しを可能とした。これにより、ベテラン設計者の業務負担を軽減し、若手設計者でも高度な設計業務を担うことを可能とする。

 具体的には、ABEJA Platform上で、新晃工業が従来、設計業務に用いてきた手配書、仕様書、依頼伝票、基準書、設計指針など多岐にわたる既存文書を統合し、データベースを構築した。文書の構造や形式に関わらず、顧客満足度の向上に直結するものの構造化が難しいクレームや設計注意点などの情報も包括している点が特徴となる。

 新晃工業は「SINKO AI Design Link」の導入で、ベテラン設計者の人的リソースの効率化し、若手設計者の育成および業務精度の向上、データの一元管理による情報の社内活用を見込む。

 ABEJAと新晃工業は今後、「Human in the Loop」のアプローチで、ユーザーフィードバックを継続的に取り入れ、システムの推奨機能や回答生成ロジックを最適化させると同時に、設計現場の最新トレンドや新技術に関する情報を適宜組み込み、さらなる精度向上を図る。また、新晃工業は、本システムを設計以外の部門にも適用することを検討している。 

ニュースリリース