東京都が災害状況の把握に特化した独自AIで災害対応の高度化を推進

2024年9月9日08:30|ニュースリリース公開日 2024年3月1日|ニュースCaseHUB.News編集部
x
hatebu

 東京都は、災害発生直後の情報空白時間における情報収集を目的とした高所カメラ被害情報収集システムを導入した。3月1日、日立製作所が発表した。

 地球規模での気候変動にともない、近年は大規模な自然災害の発生は増えており、その被害規模も甚大なものとなっている。大災害が発生した時には、例えば建物の倒壊による生き埋めなどの被災者の救助は発災後72時間までと言われ、初動期の行動が重要となる。

 東京都は、災害時における救出救助活動などの戦略決定に資する情報を収集するため、発災後の職員の初動や伝達体制などを定めており、発災初動期の被害情報の収集など、迅速な初動対応に取り組んでいる。しかし、発災直後は限られた人員が手動で高所カメラを操作しながら被害を確認し発災地点を特定していたため、都内全域の詳細な情報を漏れなく継続的に収集・把握し、対応に結び付けることに時間と労力を要していた。

 そこで東京都は、日立製作所が開発した高所カメラ被害情報収集システムを採用した。同システムは、都内で大規模な地震などが発生した場合に、都庁などに設置されている4台の高所カメラが視認範囲を自動で撮影し、その画像をリアルタイムで解析するAI(人工知能)が火災・煙・建物の倒壊を自動検知するとともに、発災地点を特定して地図上で表示する。発災地点の一覧表示機能もあり、発災地点が木造家屋の密集地帯である木密地域であるかなども把握できるため、職員が対応の優先度を検討する際にも役立つ仕組みになっている。

20240301_tokyo.jpg
被害情報収集システムの災害対応を支援

 東京都は今後、同システムと連携するカメラの台数を追加し、より広い範囲の被害を解析・検知可能にするとともに、AIの追加学習などアップデートを進め、さらなる発災時の迅速な初動対応および被害状況の継続的な把握の実現を目指す。また、自治体や警察・消防機関での災害対応のDX推進を支援し、二次災害の抑止や救護活動の迅速化、インフラの早期復旧などに貢献していくことを検討している。

ニュースリリースURL
https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2024/03/0301.html