ノーチラス・テクノロジーズ、スーパーフォーミュラで超低遅延AIの実証実験に成功

2024年12月13日17:28|ニュースCaseHUB.News編集部
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 ノーチラス・テクノロジーズ、さくらインターネット、日本レースプロモーション(JRP)の3社は、2024年12月12日、スーパーフォーミュラで走行中のレースカーの車載データを利用した超低遅延AIの実証実験を実施し、リアルタイムでラップタイムやレース順位を予測することに成功したと発表した。

 今回の実証実験は、2024年11月8日および9日に行われたJRP主催のスーパーフォーミュラRd8-9のレース中に、鈴鹿サーキットを走行するフォーミュラカーの車載データ(テレメトリデータ)を取得し、AIを用いてリアルタイムでラップタイムやレース順位を予測するというもの。ノーチラス・テクノロジーズが研究開発を実施する、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトの一環として実施された。

 実証実験では、JRPが管理しているレースにて走行中の21台のフォーミュラカーのテレメトリデータを、さくらインターネットが提供するクラウド基盤上で稼働する次世代データベース「劔"Tsurugi"」で収集し、機械学習の処理を実行した。システム上のパフォーマンスは、テレメトリデータに適切な前処理を施し、かつ一貫性を担保した状態での永続化の書き込み処理を5ミリ秒で行い、同時にAIの推論処理を5ミリ秒から20ミリ秒程度の時間で実行している。

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システム構成

 従来のAIシステムでは、このスピードでの処理を実行するには、フォーミュラカーに搭載している端末側に特殊なチップを組み込むなどの対応が必要だったが、本実証実験ではチップを組み込まずに高いパフォーマンスを維持したまま、従来のオープンアーキテクチャで実施できた。

 実証実験の結果、NEDOプロジェクトにおいて実現を目指す光通信インフラ上での分散情報処理にかかる有益な知見、実運用を見据えた信頼性を確認できた。また、将来的に本システムをレースシーンで活用することで、フォーミュラカーの順位や状態などリアルタイムな予測の提供も可能となり、より高度な戦略を駆使したレースの実現に寄与すると期待できる。

 3社は今後、さまざまな予測を行い、エンターテイメントとしてのフォーミュラレースの盛り上がりを醸成していく。また、本実証実験の結果が示すものとして、他のIoT分野においても本システムを活用することで、M2M(Machine to Machine)の機械学習を実現できるという。ミリセカンドの速度の世界で学習処理を実行することで、人間の反応よりも速い反応を返す機械学習の実現を可能とする。今後は本システムの他分野への提供にも力を入れる。

ニュースリリース