日本触媒がAIによる化学品製造工程の自動運転に成功

2025年2月18日21:34|ニュースCaseHUB.News編集部
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 日本触媒は、NTTコミュニケーションズの「AI Autopilot System」を活用し、状態が複雑に変化する化学品製造工程の自動運転に成功した。2月18日、NTTコミュニケーションズが発表した。

 化学品製造プラントの運転は、温度、圧力、濃度などの状態が常に変化するため、豊富な知識と経験が求められ、自動運転が困難とされてきた。今回、自動運転に成功した工程は、化学品の純度を高めるための連続蒸留工程で、流入する反応液の組成が、流出する留出液の再利用量や組成、天候などの外部要因により変化する。そのため、熟練運転員が常に手動で操作する必要があり、技術継承が課題となっていた。

 今回の実験では、連続蒸留工程の運転データ、運転員の操作履歴、運転ノウハウを学習させたAIモデルを構築。学習済みのAIモデルをシステムに組み込むことで、状態が複雑に変化する連続蒸留工程の自動運転を実現した。

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AIモデルを組み込んだ連続蒸留工程の自動運転のイメージ

 連続蒸留工程では温度制御が重要となる。温度制御の精度は、留出する単位時間あたりの流出液量で評価する。留出液は、工程から流出するだけでなく、断続的に一部再利用されるため、液面計で計測する理想的な液面の高さは常に変動する。

 学習済みAIモデルを組み込んだ結果、液面計の実測値と理想液面の誤差は、手動操作時の平均2.38%に対し、AI運転時は平均2.06%に改善した。手動操作と比較して13.5%の改善となり、自動運転が手動と同等以上の運転品質であることが確認された。

 今回のシステム導入で、運転員が液面計を監視し、温度を制御する負荷が軽減された。さらに、作業の標準化が進み、技能継承にかかる時間の削減が期待できる。日本触媒は今回の取り組みを工場内の他のプラントへ展開し、運転員の負荷軽減と技能継承プロセスの最適化を目指す。

ニュースリリース