北海道銀行は、問い合わせ増加の抑制と顧客の自己解決促進を目的に、Helpfeelの検索型AI-FAQ「Helpfeel」を導入した。8月5日、Helpfeelが発表した。アプリ利用者が年間8万5000人増加する中でも問い合わせ総数を横ばいに抑制することに成功しており、基本機能に関する電話での問い合わせは減少傾向にある。今後はFAQを起点として、デジタルバンキング機能全体の進化を目指す。
同行が提供する「どうぎんアプリ」は利用者が55万人を超え、機能拡充とともにコールセンターへの問い合わせが増加していた。問い合わせチャネルはほぼ電話に限られており、休日明けや給料日には電話が集中し一時的につながりにくくなることもあった。顧客自身が課題を明確に把握できないまま電話するケースも多く、1件あたりの対応時間が長くなる傾向にあった。また、従来のFAQは各商品・サービスのページに分散しており、顧客が必要な情報を見つけにくいという課題も抱えていた。
こうした背景から、顧客が自己解決できる環境を整備するため、ほくほくフィナンシャルグループ全体でFAQシステムの刷新を検討。複数のサービスを比較した結果、顧客視点での利便性の高さと、導入から運用まで一貫したサポート体制が充実している点を評価し、2024年3月にHelpfeelの採用を決めた。意図予測検索により、利用者が入力した多様な言葉からでも適切な回答を提示できる機能性も決め手になった。
導入にあたり、コールセンターのオペレーターが現場の知見を生かして既存のFAQ記事約400本を見直し、内容を全面的に改善した。その結果、アプリの新規利用者が年間で8万5000人増加する中でも、問い合わせ総数は横ばいを維持。「住所変更」といった基本機能に関する電話での問い合わせは減少しており、FAQによる自己解決が進んでいることが示された。
FAQの更新性も大幅に向上した。従来は外部の制作会社に依頼していたため、軽微な修正でも反映に約2週間を要していたが、現在は行内で即日更新が可能になった。これにより改善のサイクルが高速化し、顧客のニーズに迅速に対応できる。また、検索ログを分析することで、行員が想定していなかった「残高照会」といったキーワードで多くの顧客が検索していることが判明。こうしたデータに基づき、顧客の思考に沿った情報提供が進んでいる。
今後は、FAQを単なる問い合わせ対応ツールではなく、デジタル上の「非対面店舗」におけるナビゲーション機能と位置づける。商品情報の提供や各種手続きへの案内をFAQからシームレスにつなぎ、デジタルバンキング機能全体の進化を目指す。
同行営業統括部 営業推進室長の青木隆浩氏は、「Helpfeelは『導入して終わりにならないシステム』だと実感している。検索ログを見ると、誰もが難なくできると思い込んでいた操作に、多くのお客様が困っていることがわかった。お客様はサービス名ではなく、自分がやりたいことをそのまま検索する。この気づきによって、記事をお客様の思考に合わせて改善できるようになった。更新が即日反映できることも大きな変化であり、他部門からも改善要望が寄せられるなど、FAQ改善が社内全体の意識変化につながっている」と話している。