グッドスマイルカンパニー、フィギュア製造にAI検査採用 品質落とさず生産性向上へ

2025年5月13日22:35|ニュースCaseHUB.News編集部
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 人気フィギュアシリーズ「ねんどろいど」などの企画、製造、販売を手がけるグッドスマイルカンパニーは5月13日、フィギュア製造の検査システムとしてMENOUの「検査AI MENOU」を採用したことを明らかにした。目視検査と同等の検査精度を実現しており、急拡大するフィギュア需要に対応し、品質を維持したまま生産性向上に取り組む。

 近年、アニメフィギュアの需要は世界的に高まっており、グッドスマイルカンパニーの2022年、23年の海外売上高も、20年比で約3倍に拡大しているという。一方で、この需要増に生産が追いつかず、顧客への納期が長期化する課題も抱えている。同社によれば、フィギュアの製造工程は細かい作業が多く自動化が難しいため、製造や検査は現在も人手による作業が中心。小ロット多品種生産が基本のフィギュア製造で、日本メーカーの生命線とも言える高品質を維持したまま、生産性向上を現実的なコストで実現する必要に迫られていた。

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グッドスマイルカンパニーの海外売上高推移(出典:グッドスマイルカンパニー)

 こうした課題の解決策の一つとして、同社はAIによる画像検査システムである検査AI MENOUを鳥取県倉吉市の楽月工場に導入。ねんどろいどの面相(顔)パーツの検査を自動化した。従来の目視検査で課題となっていた検査員ごとの基準のばらつきや、属人化による見逃しのリスクを低減し、微細な不良の検出精度を向上させる狙い。現状、検査AI MENOUによる検査精度は99.2%に達しており、人間による目視検査と同等の精度だという。これにより、品質維持と生産性向上の両立や、検査人員の教育コスト軽減などを見込む。

 今回の取り組みについて、グッドスマイルカンパニー代表取締役社長の岩佐厳太郎氏は「当社では、最新技術を活用した製造工程の開発に取り組んでおり、特にラボ機能を備えた国内工場では、新技術の実証を重ねながら、製造プロセスの最適化を進めている。今回、検査工程に検査AI MENOUを導入したことで、製造初期の段階で不良を検出し、より安定した品質のフィギュアをお届けできると期待している」とコメントしている。

 グッドスマイルカンパニーは今後、検査AI MENOUのさらなる精度向上を目指すとともに、さまざまな種類の顔パーツでの活用を予定しているという。

ニュースリリース