日本旅行は、カスタマーエクスペリエンス(CX)の向上と業務効率化を目的に「Zendesk Suite」を採用した。Zendeskが、6月30日に発表した。
日本旅行は創業120周年を迎える老舗旅行会社であり、近年はインターネット販売や個人旅行の拡大、CXの強化に注力してきた。事業環境として、新型コロナ禍による旅行需要の減少と、その後の「Go To トラベルキャンペーン」などによる急激な需要回復が重なり、東京コールセンターだけで1日あたり3000〜4000件の問い合わせが寄せられる状況となった。問い合わせ内容も複雑化し、オペレータの負担が増大していた。
Zendesk導入の背景には、コールセンター業務の効率化と合理化の必要性があった。従来はOutlookによるメール対応や、コールセンター間で統一されていないシステム運用が課題となり、問い合わせや対応状況の共有が十分にできていなかった。顧客視点では、どの拠点に連絡しても一貫した対応が求められており、情報や対応のシームレスな共有体制が急務だった。
問い合わせ内容や対応状況の一元管理、FAQの充実による自己解決率の向上、メールやチャット対応の促進といった要件を満たすことからZendeskが選ばれた。実際にZendeskを試用した際の使い勝手の良さや導入の敷居の低さ、スモールスタートが可能な点が決め手となった。現場のオペレータのITリテラシーに幅がある中で、誰でも無理なく使える操作性も高く評価された。
2022年11月に東京コールセンターでZendesk Suite Professionalを導入し、FAQサイト(ヘルプページ)、Web問い合わせフォーム、チャットボット、有人チャットの順でノンボイスチャネルを拡充。一元管理体制を構築した。FAQやチャットボットによる自己解決の促進で、電話着信数は年間13万件超から約8万件へと約40%減少し、業務効率が大幅に向上した。有人チャットの活用も進み、対応時間の短縮やオムニチャネル化が実現した。
導入効果としては、FAQページやチャットボットによる自己解決率が2025年4月時点で35%に達し、初回解決時間も導入直後の151分から2025年には78分へと約48%短縮された。Zendesk AIの活用により、サポート担当者の文章作成や品質向上も進み、カスタマーサポート基盤として全社的なDX推進の原動力となっている。
日本旅行では、Zendeskの簡便な操作性と手厚いサポート体制を高く評価している。現場の声としても「仕事が楽になった」「便利になった」との反応が多く、顧客満足度の向上にもつながっている。今後の展望として、日本旅行はZendeskのさらなる活用を進め、FAQやチャットボットによる自己解決率を2025年12月までに25%へ引き上げる目標を掲げる。AIによるノウハウ蓄積やデータ分析の強化を通じて、旅行体験の向上と新たな価値創出、全社的なデジタル化を加速させる方針だ。
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