姫路市は、児童相談や福祉相談における業務負担の軽減と市民サービスの質向上を目的に、「AmiVoice Communication Suite」を採用した。AI音声認識ソリューションを提供するアドバンスト・メディアが、5月21日に発表した。
行政機関への相談は電話が多く、職員は相談内容の記録作成に多くの時間を費やしている。姫路市では、複雑化・多様化する市民からの相談ニーズへの対応が急務となっていた。従来、児童相談や福祉相談の電話応対業務では、職員が通話内容をメモし、後から記録を作成していた。この業務は多大な時間と労力を要し、本来注力すべき市民支援の時間を圧迫するだけでなく、記録作成の遅延や内容の正確性低下、担当者以外への情報共有の難しさが課題だった。
こうした背景から、姫路市は2024年1月から2月にかけ、AI音声認識技術を活用した電話応対記録の効率化に向けた実証実験を実施した。実験では、アドバンスト・メディアのAmiVoice Communication Suiteを電話機に接続し、通話内容をリアルタイムで自動テキスト化した。実際に3752件の相談対応を通じ、記録作成に要する職員一人当たりの残業時間が月平均16時間から5.5時間へと約66%削減され、記録の質も向上した。また、職員の年休取得率も月平均0.7日から1.6日へと改善が見られた。
姫路市が本ソリューションを選定した理由には、音声認識の高精度に加え、セキュアな運用環境の実現や、管理者による通話内容のリアルタイム把握、トラブル時のヘルプ・アラート機能など、難易度の高い相談業務を支える多様な機能がある。
実証実験の成果を受け、姫路市は2025年3月より、子育て支援室(児童相談)に加え、いじめ相談やDV相談などを担当する福祉部門にも利用範囲を拡大し、本格運用を開始した。導入プロセスでは、ICTを活用した自治体支援事業の公募を活用し、県からの紹介を受けてシステムを選定。システム導入はNECネッツエスアイが担当した。
姫路市デジタル戦略室兼務の技術主任・藤井宏昭氏は、「人にしかできないこと(市民サービス・福祉の追求)を人が行うことを芯に据え、官民が連携してデジタル技術を活用することで、相談支援の質を充実させ、市民福祉の向上につなげていく」としている。今後も姫路市は、AI音声認識技術の活用を通じ、電話応対業務のさらなる効率化と市民サービスの拡充を目指す。
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