立命館アジア太平洋大学(APU)は、学生が企業から実践的な知識や経験を学ぶことを目的に、TDCソフトによるPBL(課題解決型学習)形式の特別授業を実施した。7月30日、TDCソフトが発表した。授業では「Web3ビジネスの実態」をテーマに、学生がWeb3技術を活用した社会課題解決のビジネスアイデアを考案。企業との連携によるリアルな学びを通じて、新たな価値創造への貢献が期待される。
今回の特別授業は、APU国際経営学部の大竹敏次教授から、海外の学校に通っていた経験を持つ国際生が多く占めるゼミにおいて「企業からの生きた情報を通じて学生に実践的な知識や経験を習得させたい」との依頼を受け、TDCソフトが提案し、実現したものだ。TDCソフトは、60年以上にわたり金融・公共といった社会インフラを支えてきた実績と経験を有しており、その知見を活かしてWeb3・ブロックチェーン領域の事業研究に取り組んでいる。
授業は2025年5月13日から7月15日にかけて計4日間、PBL形式で行われた。講師はTDCソフト金融システムイノベーション部のシニアマネージャーである樋澤康太氏が担当した。Web1からWeb3への進化の歴史や、ブロックチェーンといった分散型ネットワークの基本構造、DeFi(分散型金融)、DAO(分散型自律組織)などの最新事例を紹介。日本およびグローバル市場の課題や今後の展望についても講義が行われた。また、「日本国内における社会課題の解決に向けたWeb3技術の活用方法」や「Web3技術を活用したビジネスアイデア」といった6つのテーマに対し、学生がチームで解決策を考えるワークショップを実施。最終日には各チームがプレゼンテーションを行い、講師との活発な質疑応答が交わされた。
講義を受けた学生からは、Web3への理解が格段に深まったとの声が上がっている。ある学生は、Web2の課題をWeb3がどう解決するのか、企業の変化に焦点を当てていた点が印象的であり、企業視点でのアプローチは今後の学習やキャリアに非常に役立つ有意義な時間だったと評価。Web3関連のITコンサルティングに挑戦したいと意欲を見せている。また、別の学生は、Web3が単なる仮想通貨ではなく、多岐にわたるビジネスの可能性を秘めていると認識できたとし、今後はWeb3を活用したマーケティング戦略に挑戦したいと話している。
APUの大竹敏次教授は、今回の授業について「TDCソフトによる講義は、現場で培われた知見をベースにした内容で、学生たちにとって非常にリアルで有益かつ実践的な学びとなった。特に、Web3が単なる技術ではなく、社会課題の解決やビジネス変革に活かせることを、自らの言葉で考える機会になった点は大きな収穫だ。企業と連携したPBLの中で、学生たちは仮説を立て、フィードバックを受けながらアイデアを磨くという貴重な経験を得ることができた」と述べている。APUは今後も、こうした産学連携を通じて実社会とつながる学びの場を広げていきたい考えだ。