LOZIは、顧客とのデータ連携を効率化しサービス提供を迅速化することを目的に、セゾンテクノロジーのiPaaS(Integration Platform as a Service)「HULFT Square」を採用した。7月30日、セゾンテクノロジーが発表した。顧客が利用する多様なシステムとの連携を容易にすることで、双方の業務負荷を軽減し、物流業界が抱える社会課題の解決を促進する。
LOZIは、トラックドライバーの不足や労働時間規制(いわゆる「物流2024年問題」)といった社会課題の解決を目指すスタートアップ企業。同社が開発・提供する「SmartBarcode」は、製品やパレットに貼付したバーコードやQRコードをスマートフォンで読み取るだけで、サプライチェーン上のモノの動きを可視化するウェブアプリケーションだ。専用機器が不要で導入しやすく、多くの事業者が介在する複雑なサプライチェーンにおいても、情報をシームレスに共有できる点を特長としている。
サービスはリリース当初から大手物流会社を中心に利用者を獲得し、農業や製造業などにも活用の幅を広げてきた。しかし、事業が拡大し大手企業との取引が増えるにつれて、データ連携の非効率性が課題として顕在化した。SmartBarcodeで情報の一元管理を行うには顧客のシステムとの連携が不可欠だが、その際に顧客側のシステム部門にデータ形式の整理・加工を依頼する必要があり、双方にとって大きな負担となっていた。
この課題を解決するソリューションとして、HULFT Squareの採用を決めた。選定の決め手は、連携できるシステムの種類が豊富だったことだ。LOZIのサービス基盤であるAWSはもちろん、顧客が利用するGoogleドライブやkintoneなど多種多様なシステムと容易に連携できる点を評価した。HULFT Squareを介することで、顧客は既存システムから出力されるデータをそのままの形式で連携でき、データ加工の負荷なく導入を進められると判断した。
2023年にHULFT Squareを導入したことで、データ連携のプロセスは大幅に効率化された。顧客が基幹システムなどから出力したCSVやExcel形式のデータを、クラウドストレージへの格納やSFTPでの送信といった簡単な方法で連携すると、HULFT SquareのETL機能がデータを自動的に整理・加工し、SmartBarcodeにアップロードする仕組みを構築した。これにより、顧客側のデータ準備にかかるコストを削減できた。
LOZIにとっても、サービス提供のスピードが飛躍的に向上した。データ連携の自動化により、顧客からの要望を受けて即日でデータを修正したり、データ連携からデモンストレーション環境の構築までを3日程度で完了させたりすることが可能となった。
具体的な活用事例として、家電量販大手A社と物流大手B社のケースがある。両社はSmartBarcodeを導入し、従来紙伝票で行っていた店舗配送業務をデジタル化した。これによりA社は紙のコスト削減と情報漏洩リスクの解消を実現。B社では、店舗での納品・検品作業が効率化され、トラックドライバーの待機時間を1人あたり1日平均で45分削減する成果を上げた。
LOZI取締役の伴 雅弘氏は、「顧客に必要な情報さえ入っていれば、手間をかけずに出力できる形でデータを送ってもらえるようになり、顧客側のコストを大幅に削減できた。スタートアップでリソースが限られる中、HULFT Squareの導入で社員の負担を軽減でき、空いた時間をお客様対応や事業拡大にあてられるようになった」と話す。
同社は今後、温室効果ガスの排出量削減やトレーサビリティの構築といった、より広い社会課題の解決に貢献していく考えだ。伴氏は、「個々の商品を識別して管理する個品管理が一般消費財にも広がれば、サプライチェーンの世界観は一気に変わるはずだ。あらゆるシステム同士をすばやく、簡単につなげられるHULFT Squareの特長は、そうした展開において大きな強みになる」と述べ、今後の展望を語っている。
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