アビームコンサル、トップパフォーマーの思考をAI化

2025年7月4日00:28|ニュースCaseHUB.News編集部
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 アビームコンサルティングは、営業組織の高度化と提案価値の最大化を目的に、セールスフォース・ジャパンの「Agentforce」「Data Cloud」「MuleSoft」を導入した。7月2日、セールスフォース・ジャパンが発表した 。同社のトップパフォーマーが持つ情報収集の視点や判断基準をAIに移植し、全コンサルタントが活用できる仕組みを構築した。これにより、戦略アカウントに対するセールスオポチュニティは従来比120%、売上成長率は115%に向上するなど、顧客への提供価値最大化につなげている。

 アビームコンサルティングは、2024年4月に掲げた中期経営計画「Sategy2027」実現に向け、社内の顧客アプローチや管理プロセスの高度化を推進していた。なかでも、顧客との最前線に立つトップパフォーマーに蓄積された高度な顧客深耕スキルが、個々の経験やビジネスセンスに依存し、再現性が低く組織的な展開が困難であることが課題となっていた。このため、トップパフォーマーの行動特性をモデル化し、全社で活用できる仕組みづくりが求められていた。

 同社は「自社実証」の哲学のもと、顧客への提案に先立ち自ら最先端テクノロジーを活用する取り組みを進めている。今回の導入では、単なる業務効率化にとどまらず、トップパフォーマーの思考と行動の型をAIに移植した点が特徴だ。社長の山田貴博氏をはじめとする優れた成果を上げる社員たちの情報収集の視点、分析アプローチ、次なる行動の判断基準を「トピック」と「アクション」の構造で体系化し、Agentforceに実装した。

 この仕組みにより、すべてのコンサルタントがトップパフォーマー同様の戦略性と機動力を備えた提案活動を実現できる体制が整った。たとえば、「脱炭素」に関するニュースが報じられると、AIが関連する業界事例や有識者の情報を即座にコンサルタントに提示する。また、顧客企業の役員人事が発表された際には、従来は部門間の個別連携が必要だったが、AIエージェントが自動で異動先に応じたインサイトを提示し、「経営アジェンダの設定」や「役員面談の設定」といった最適なアクションを提案する。こうした取り組みにより、営業の質とスピードが向上し、戦略アカウントに対するセールスオポチュニティは120%、売上成長率は115%へと大幅に改善した。

 今後は、クライアントに関する新着ニュースや対話内容を起点としたインサイトの提供、経営計画レポートの作成・分析などを通じて、さらなる提案機会の拡大を目指す。また、人事異動情報や名刺交換を契機とした提案、顧客満足度調査の結果に基づくアラート発出など、キーパーソンとの関係強化に向けたユースケースの実装も検討している。

 アビームコンサルティングの山田貴博社長は、「DXを通じてお客様への価値提供を最大化していくためには、フロント領域におけるデファクトスタンダードなツールを当社自身が積極的に活用し、企業変革を実現していくことが重要であると考えた。自社での実践が、より具体性と説得力のある提案や変革実現力につながる」と述べている。

ニュースリリース


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