東京都教育委員会は、都立高校における生徒の英語表現力の育成と教員の業務負担軽減を目的に、DeepLのAIライティング・翻訳支援ツール「DeepL Write Pro」および「DeepL翻訳」を採用した。7月3日、DeepLが発表した。AIによるリアルタイムのフィードバックを通じて生徒の主体的な学習を促すとともに、教員の指導に関わる負担を減らし、英語教育全体の質的向上を目指す。
東京都はこれまで、行政業務の効率化をはじめ、さまざまな分野でAI活用を積極的に推進しており、今回の導入はその流れを教育分野に拡大する取り組みだ。「AIを活用した英語教育の充実事業」の一環として2025年4月1日から開始され、現在、都立高校15校において計10000人以上の生徒と教職員が活用している。
従来の英語教育、特にライティング指導においては、教員一人あたりの担当生徒数が多く、個々の生徒の成果物に対してリアルタイムで添削などの詳細なフィードバックをすることが困難という課題があった。英語が国際社会で活躍するために不可欠なスキルである一方、生徒が実践的な文章作成能力を養う機会の確保が求められていた。
DeepL Write Proは、入力された文章に対し、語彙の選択や文法、言い回しなどをリアルタイムで修正・提案するAI文書作成支援ツールだ。DeepL翻訳は、30以上の言語に対応する高精度なAI翻訳ツールである。選定にあたっては、特別なコマンドを必要としない直感的な操作性に加え、教育現場の目的に応じてトーンやスタイルを調整できるカスタマイズ性、日本法人による充実したサポート体制などが評価された。
これらのツールの活用で、生徒はAIから即時性のあるフィードバックを得られ、より自然で洗練された表現を効率的に学習し、英語で文章を書くことへの自信を高める効果が期待される。また、教員は多言語の教材準備が容易になるほか、生徒への個別添削にかかっていた時間を削減できる。これにより、授業内容の充実や生徒一人ひとりへのより深い指導といった、教育の質向上に関わる本質的な業務に集中できる環境が整う。
東京都教育委員会のグローバル人材育成部国際教育推進担当課長である宮﨑智氏は、「今回のAIアプリの活用を通して、教員の負担軽減に加え、より多くの生徒の『書く力』と『思考力』を高め、自信を持って英語で発信できるようになることを期待している。今後も、未来を担う子供たちの可能性を広げるために、最新の技術を積極的に取り入れ、最適な学びの環境づくりに努めていく」と話している。
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