宮崎県綾町、AIオンデマンド交通を本格運行 高齢者の移動手段確保し利便性向上

2025年7月9日18:20|ニュースCaseHUB.News編集部
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 宮崎県綾町は7月9日、運転免許証を自主返納した高齢者の移動手段として、AIオンデマンド配車サービスを開始した。従来の外出支援バスが抱えていた利便性の課題を解消し、安心して暮らし続けられる環境の構築を目指す。

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綾町のAIオンデマンド配車サービスで使用される車両

 綾町では、高齢者や障害者の移動支援として、約20年前から「外出支援バス」を運行してきた。しかし、運行日数が限られている点や、乗降ポイントの少なさ、予約方法が電話に限られる点など、利便性に課題を抱えていたという。

 今回新たに運行を開始するAIオンデマンド配車サービスは、そうした課題の解決を図る取り組みであり、2025年4月から実証実験を重ねてきた。スマートフォンアプリからの予約に対応するなどユーザビリティを向上させるとともに、AIを活用して予約状況に応じた最適なルートを計算し、効率的な運行を実現しているという。

 利用者は、公共施設やスーパーマーケットなど、町内に設けられた124カ所の乗降ポイント間を移動可能だ。サービスの対象は綾町に在住する70歳以上の人で、無料で利用できる。予約は利用希望日の1週間前から乗車時刻の15分前まで受け付ける。運行事業者は綾町社会福祉協議会が担う。

 サービスの基盤としては、トヨタやソフトバンクが出資するMaaS企業であるMONET Technologiesのシステムを採用。ユーザー向けのスマートフォンアプリ、予約状況やそれに応じた最適な運行ルートを確認できる運行管理システム、車両の稼働状況などを確認できる管理者向けのAIオンデマンドシステムを導入した。また、三菱HCキャピタルが同サービス用車両4台の調達を担当した。

 綾町、三菱HCキャピタル、MONETの3者は、今回のAIオンデマンド配車サービスの提供を契機に、さらに連携を深め、高齢者向けサービスの充実などを図る方針だという。

ニュースリリース