相鉄グループ、自然言語AIでデータ分析を浸透 ダッシュボード作成の工数を削減

2025年9月2日00:04|ニュースCaseHUB.News編集部
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 相鉄ホールディングスは、ビジネスユーザーが自らデータ分析できる環境を構築するため、ThoughtSpotの分析プラットフォーム「ThoughtSpot」を採用した。8月29日、同製品の導入を支援したジールが発表した。自然言語検索とAIを活用し、部門横断的なデータ活用を推進することで、データに基づく意思決定や競争力強化を目指す。

 相鉄グループは、運輸業、流通業、不動産業、ホテル業など多岐にわたる事業を展開している。2021年には長期ビジョン「Vision2030」を策定し、持続的な成長に向けた基盤整備と事業領域の拡大を目指している。その一環として、顧客情報をOne IDで管理する「グループ共通ポイント(相鉄ポイント)」を2024年3月から開始した。顧客の利便性向上に加え、顧客データを活用して最適なサービス提供につなげたい考えだ。

 相鉄グループは、相鉄ポイントの顧客データを収集・蓄積する基盤として、2023年にクラウドデータウェアハウスの「Snowflake」を採用。グループ各社に分散するデータを一元管理し、横断的な活用による競争力強化を図った。しかし、データを可視化するBIツールでは、事業部門から情報システム部門に依頼してダッシュボードを作成してもらう必要があり、タイムリーなデータ活用が困難だった。また、ユーザーが別の視点から情報を確認したい場合、再度ダッシュボードを作成しなければならない点も課題となっていた。

 こうした課題を解決するため、複数のBIツールを検討した結果、ジールから以前提案を受けていたThoughtSpotに着目。インターネットで検索する感覚で、自然言語検索によってビジネスユーザーが直感的に操作できる点や、Snowflakeとの連携が容易である点を高く評価し、導入を決めた。

 導入プロジェクトはジールが技術支援を担当し、1カ月間にわたり、Snowflakeの実環境でThoughtSpotの有効性を検証する概念実証(PoC)を実施した。ジールは、PoCで発生した疑問をその場で解決するための定期的なミーティングや、ユーザーおよびシステム担当者向けのトレーニングを実施するなど、密な連携を通じて導入を支援した。

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相鉄グループのデータ活用環境

 ThoughtSpotの導入により、相鉄ポイント運営事務局では、見たい情報をすぐに自分たちで調べられるレベルに達した。これまでデータを活用する習慣がなかった部門でも、データを見て深掘りし、施策に役立てるなど、データ活用の「マインドチェンジ」という大きな成果が出ている。また、従来のBIツールに比べ、自分でグラフを簡単に作成できることや、マウス操作でドリルダウンできる点も評価されている。

 今後は、グループ横断的なデータ活用プラットフォームの構築を進め、不動産事業やホテル事業、電車の乗降データなど、異なる事業のデータを掛け合わせることで、さらなる競争力強化を図る。また、データとThoughtSpotをセットで提供し、データ活用の成功モデルを増やし、人材育成や教育にも注力していく。

ニュースリリース