レアル・マドリード、生成AIでコンテンツ制作を変革 アドビと提携拡大しファン体験刷新

2025年11月27日11:49|ニュースCaseHUB.News編集部
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 レアル・マドリードは、世界中のファンに向けた体験のパーソナライズを目的に、アドビとのパートナーシップを拡大した。コンテンツ制作基盤として「Adobe GenStudio」や「Adobe Experience Platform」などのAI機能を活用する。11月26日、アドビが発表した。生成AIとエージェント技術によってコンテンツサプライチェーンを変革し、6億5000万人を超えるファンとのエンゲージメントを強化する。

 スペインのプロサッカーリーグ「ラ・リーガ」に所属するレアル・マドリードは、世界屈指の規模と実績を誇るスポーツクラブだ。近年のサッカーファンは、単に試合のハイライト映像を見るだけでなく、自分に関連性が高く、パーソナルなコンテンツを通じてクラブとの一体感を得たいとのニーズを持っている。また、チームへの情熱を独自の方法で表現し、共有したいという要望も強まっており、ファン一人ひとりに対するきめ細かなコミュニケーションが課題となっていた。

 こうした背景から、レアル・マドリードはアドビのAIおよびエージェント技術の本格的な活用を決めた。具体的には、コンテンツサプライチェーンを強化する統合ソリューションであるAdobe GenStudioや、顧客体験管理基盤であるAdobe Experience Platformを採用。これらに含まれる「GenStudio for Performance Marketing」や「Adobe Firefly Services」といったアプリケーション群を利用することで、ソーシャルメディアや公式アプリ、公式テレビチャンネルなど、あらゆるチャネルに向けたコンテンツの制作、展開、最適化を効率化する。

 AI機能の活用により、レアル・マドリードはブランドイメージの一貫性を保ちながら、コンテンツ制作能力を大幅に拡大できる。GenStudio for Performance Marketingは、生成AIを活用したワークフローによって複雑なマーケティングプロセスを自動化し、広告プラットフォームへの展開をシームレスに行う。また、Firefly Servicesは反復的な制作タスクを自動化することで、アセットのバリエーション制作を効率化し、大規模なパーソナライゼーションを可能にする。

 さらに、Adobe Experience Platform Agent Orchestratorの会話型インターフェイスを活用することで、マーケティングチームはデジタルチャネル全体でのカスタマージャーニーの作成から分析までを行えるようになる。「Journey Agent」などの機能を用いれば、ファンに対して適切なタイミングとチャネルでコンテンツを届けられるようになり、エンゲージメントの向上につながると見込んでいる。

 今回の提携拡大では、ファン自身がクリエイターとなれる環境も提供する。デザインツール「Adobe Express」を活用し、レアル・マドリード専用のテンプレートを使ってポスターやバナーなどを手軽に作成できる仕組みを整備した。これにより、ファンはクラブや選手への情熱を自身のストーリーとして表現し、コミュニティ内で共有することが可能になる。

 レアル・マドリード広報担当ディレクターのエミリオ・ブトラゲーニョ氏は、「世界のどこにいるファンともより深くつながり、クラブの一員であると感じてもらうための新たな取り組みだ。アドビとの提携により、創造的でパーソナライズされたコンテンツを届けられるだけでなく、ファン自身がストーリーを生み出し、共有できるよう支援していく」と話している。

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