王子HD、全社DX基盤に「Domo」採用 経営判断を迅速化、2カ月で1万2000人展開

2025年11月27日11:52|ニュースCaseHUB.News編集部
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 王子ホールディングス(王子HD)は、グループ全体の経営判断の迅速化とグローバル競争力の強化を目的に、全社データ活用プラットフォーム「Domo」を採用した。11月27日、AIを搭載したデータ活用プラットフォームを提供するドーモが発表した。経営トップ主導で導入を推進し、利用開始から2カ月でグループ社員1万2000人が活用する体制を整えた。データに基づく意思決定の文化を醸成し、イノベーションの創出につなげたい考えだ。

 1873年創業の王子HDは、国内外に多数のグループ会社を展開しており、海外売上高比率は40%を超えている。海外拠点ではダッシュボードによるデータ活用が日常化している一方、国内拠点ではExcelファイルでのやり取りが主流となっていた。そのため、データを情報資産として十分に活用できず、特に経営会議などの資料作成に多くの工数が割かれていることが課題だった。

 こうした状況を受け、同社は「スピーディに、グループ全体に、データ活用を促進していく」という磯野裕之CEOの方針のもと、DX推進部を発足させ、グローバルDX基盤としてDomoを採用した。選定にあたっては、データを完璧に整備する前に必要な指標を素早く可視化できるユーザビリティの高さや、Excelを含む多様なデータを簡単に取り込め、短期間で環境を整備できる点を評価した。

 導入プロジェクトでは、スピード感を重視したトップダウンのアプローチをとった。2025年4月の経営会議でDomoの活用を決定し、翌月の経営報告から運用を開始することで、データ活用を一気に全社へ波及させた。推進にあたっては、ドーモが推奨する定着化のフレームワーク「カンパニー・ワイド・アダプション」を活用。各グループ会社へのDX推進担当の配置、社員のスキルレベルに応じたトレーニングの実施、CEOによるメッセージ配信など、組織、教育、啓蒙の各面から包括的な施策を実行した。

 その結果、経営ダッシュボードのリリース後、わずか2カ月で対象者1万2000人がデータ活用できる体制が整った。現場レベルでも、導入から3週間で事業部の社員が営業ダッシュボードを自作するなど、自律的な活用が始まっている。

 王子HD 執行役員 王子ビジネスセンター代表取締役社長の藤川健志氏は、「3カ年計画で進めてきたDX戦略だが、1年目にして想定以上に早いペースでデータ活用が進んでいる。社員はDomoのような間口の広いツールを待ち望んでいたのかもしれない。自ら課題を可視化して解決法を模索できるツールの導入とフレームワークを活用したアプローチが、スピード感のあるデータドリブン文化の醸成に役立っている」と話している。

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