ファストドクター、AIボイスボットで電話応対の8割を自動化 月100時間を削減

2025年11月27日11:46|ニュースCaseHUB.News編集部
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 ファストドクターは、コンタクトセンターの電話応対業務を効率化するため、アドバンスト・メディアが提供するAIボイスボット「AmiVoice ISR Studio」を採用した。11月27日、アドバンスト・メディアが発表した。薬局からの問い合わせ対応などを自動化することで、月間約3000件ある入電のうち約83%をボイスボットによる対応に切り替え、月100時間以上の業務時間を削減した。

 ファストドクターは、約5000名の医師と連携する医療支援プラットフォームを運営している。提携医療機関の事務業務も受託しており、コンタクトセンターでは薬局からの疑義照会(薬剤名や副作用の確認など)の一次受付を担っている。しかし、サービス拡大に伴い入電数が急増しており、特に感染症の流行期や年末年始には応答が困難になるケースが発生していた。従来は社員や外部リソースで対応していたが、コストや応対品質、管理負荷の面で課題があり、持続可能な運用体制の構築が求められていた。

 そこで、電話応対の自動化に向けてAmiVoice ISR Studioを採用した。選定にあたり、医療向けの音声認識エンジンを搭載しており、専門性の高い医療・製薬関連の用語を単語登録なしで高精度に認識できる点を高く評価した。また、コストパフォーマンスに優れている点や、直感的なユーザーインターフェースでシナリオ構築が容易であること、外部システムとの連携がスムーズで将来的な拡張性が高い点も決め手になった。

 2025年6月に概念実証(PoC)を開始し、検証期間中に医療用エンジンの調整などを行い、わずか1カ月後の7月には全国の薬局からの問い合わせに対し、ボイスボットによる一次受付の本格稼働を開始した。オンライン診療領域でのAI活用として、法的およびセキュリティ面の対策も十分に講じた上で運用している。

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AmiVoice ISR Studioによる一次受付のイメージ

 新システムの稼働により、2025年9月時点で月間約3000件の入電のうち、約2500件をボイスボットが対応する体制を確立した。従来は1件あたり2~3分を要していた応対業務が自動化され、月間で100時間以上の業務負荷軽減につながった。受付内容は顧客管理システム(CRM)に自動連携され、オペレーターは事前にテキスト化された問い合わせ内容を確認してから医師への確認や折り返し対応を行えるようになった。これにより、電話が鳴り続ける状況が解消され、オペレーターの心理的負担軽減や業務効率化にも寄与している。

 今回の取り組みは、生成AIを活用した柔軟なシナリオ設計などが社内で高く評価され、同社のAI活用コンテストで優秀賞を受賞した。今後は導入効果を踏まえ、他部署への展開も進めている。

 ファストドクター オンライン事業本部ドクターサポートグループ グループ長の篠田拓理氏は、「高齢化で医療ニーズが高まる中、AI活用による業務効率化は不可欠だ。AmiVoice ISR Studioを導入したことで、労働集約型だった電話応対業務を大幅に効率化できた。この取り組みは他の医療機関でも広く活用できる可能性がある。今後も必要な時に必要な医療へ確実につながる社会の実現に挑戦していく」と話している。

ニュースリリース