日本発条(ニッパツ)は、研究開発本部におけるデータ基盤の集約とAI活用の促進を目的に、クラウド型データ・インテリジェンス・プラットフォーム「Databricks」を採用した。12月3日、Databricksの導入を支援したマクニカが発表した。情報の検索性向上による業務効率化や、AIモデルの予測精度向上などの成果が出ている。今後は利用範囲を全部署へ拡大し、データの民主化を推進する考えだ。
ニッパツは自動車用懸架ばねや情報通信部品などを手掛けるグローバル企業。研究開発本部では、AI活用に向けた環境整備を進めていたが、データが各部署に散在しており、所在が不明確であることや、AIモデルの開発・運用のための統一された基盤がないことが課題となっていた。管理データの項目や保存場所を統一し、AIモデルを最適化するための開発環境を整える必要があった。
そこで、データの蓄積から加工、分析、可視化までを単一のプラットフォームで一気通貫して実施できるDatabricksを導入した。選定にあたっては、現場で利用頻度の高いExcelデータの取り込みが容易で、システム移行への心理的障壁が低い点を評価した。また、AIモデル開発からデータウェアハウス(DWH)としての利用まで幅広く対応できる汎用性の高さや、使用量に応じた課金体系によりスモールスタートが可能で、投資リスクを抑えられる点も採用の決め手となった。
導入に際しては、マクニカがデータベース開発の初期構想段階から提案を行い、導入段階に応じたハンズオンでのサポートやトレーニングを実施して定着化を支援した。
Databricksの導入により、研究データの情報集約とアクセス性が大幅に向上した。Databricksにアクセスするだけで必要な情報を数分で取得できるようになり、データ管理の属人化が解消された。AI開発においては、モデルのチューニングやパラメータ探索の試行回数を増やすことが可能になり、予測精度の向上につながっている。また、従来は接点のなかった異分野の研究データへのアクセスも容易になり、新たな価値創出の土壌が整っている。
現在、研究開発本部内で約10名がDatabricksを活用している。今後は事業部(BU)をまたいで利用者を拡大していく予定だ。Databricksのアプリケーション作成機能などを活用し、ユーザー体験(UX)を高めることで、誰もが使いやすい情報基盤の構築を目指すとしている。