足利銀行、AI-FAQ活用で問い合わせ対応を刷新 フォーム利用者の7割が自己解決

2025年8月8日11:56|ニュースCaseHUB.News編集部
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 足利銀行は、Webサイトにおける非対面サポートの強化と問い合わせ対応の効率化を目的に、Helpfeelの検索型AI-FAQ「Helpfeel」を採用した。8月8日、Helpfeelが発表した。導入後、問い合わせフォーム利用者の約7割が自己解決に至るなど顧客体験が向上した。今後はFAQの検索データを活用したサービス改善サイクルを定着させ、金融DXを加速させる考えだ。

 同行のWebサイトには従来、約670件の「よくある質問」が各サービスページに分散して掲載されており、顧客が必要な情報を見つけにくい状況にあった。その結果、「探すより聞いた方が早い」と考える顧客が多く、コールセンターには月間4000件を超える問い合わせが寄せられていた。

 コールセンターは人員体制が限られるため、電話がつながりにくい状況が発生していたほか、対応時間が平日日中に限定されるため、時間外の問い合わせニーズに応えきれていないことも課題だった。そこで、顧客がいつでも情報にアクセスできる自己解決環境を構築するため、2024年4月にHelpfeelを導入した。

 Helpfeelの導入により、電話での問い合わせ件数は前年比で約1割削減された。特に増加傾向にあったインターネットバンキングやアプリに関する問い合わせが減少している。FAQページは月間2万セッションを超えるアクセスがあり、コールセンターの営業時間外でも多くの顧客が疑問を自己解決している。また、問い合わせフォームにもHelpfeelを実装し、質問入力時にAIが関連するFAQを提示する仕組みを構築。これにより、フォーム利用者の約7割が問い合わせをせずに疑問を解消できるようになった。

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検索型FAQの画面イメージ

 導入効果は問い合わせ削減にとどまらない。FAQの検索ログを分析することで、顧客の潜在的なニーズを正確に把握し、サービス改善につなげる取り組みも進んでいる。「口座番号の確認方法」に関する検索が多かったことを受け、従来は電話や来店が必要だった照会手続きをオンライン上で完結できる仕組みを新たに構築した。客観的なデータに基づく改善提案のため、他部門との合意形成も円滑に進んだという。

 この取り組みを機に、ホームページ運営チーム、コールセンター、商品開発部門の三者による連携が強化され、顧客の声を迅速にサービスへ反映する好循環が生まれている。同行ダイレクト営業部次長の大澤花江氏は、「データからお客様が知りたいことを把握し、サービス改善につなげられている。私たちホームページ担当者、コールセンター、商品所管部の連携も強化できた」と話す。

 今後は、コールセンターが保有する問い合わせログとFAQのデータを連携させ、さらなる顧客利便性の向上と業務効率化を目指す。また、Helpfeelが主催する「地銀AIコミュニティ」にも参加し、他の地方銀行と知見を共有しながら、業界全体の課題解決と金融DXの推進に取り組む方針だ。

 大澤氏は、「銀行は人事異動によって数年ごとに担当者が入れ替わるが、Helpfeelには伴走支援があるため、担当者が変わってもFAQを安定的に運用できる。金融機関のように定期的な異動が発生する企業でも安心して導入できるのではないか」とコメントしている。

ニュースリリース