C-Unitedは、3社統合に伴う業務プロセスの統一と効率化を目的に、ドリーム・アーツの業務デジタル化クラウド「SmartDB」を採用した。12月16日、ドリーム・アーツが発表した。旧システムのブラックボックス化などの課題を解消し、稟議承認の迅速化やシステム運用負荷の軽減につなげた。今後は開発の内製化を進め、現場主導の業務改善を目指す方針だ。
C-Unitedは2021年にシャノアールと珈琲館の経営統合により発足し、2023年にはポッカクリエイトと合併した。これにより「カフェ・ベローチェ」「珈琲館」「カフェ・ド・クリエ」という主要3ブランドを運営することになったが、統合に伴い、各社で異なっていた業務フローやシステムの統一が急務となっていた。特にカフェ・ド・クリエの業務は紙による申請が主体であり、複数の拠点を持つ統合後の環境では回付に時間がかかるなど、効率面に課題があった。
また、従来のワークフローシステムはローコード開発プラットフォームを利用していたが、長年の運用で複雑に作りこまれ、内部構造がブラックボックス化していた。メンテナンスが属人化していたため、組織変更などの変化に柔軟に対応できず、改修コストも増大していた。そこで同社は、将来的な変化にも対応できる柔軟なシステム基盤を構築するため、刷新を決断した。
新たな基盤として採用したSmartDBの選定にあたっては、並列承認や合議といった複雑な承認フローを標準機能で再現できる点や、人事情報や売上データなど外部システムとの連携が容易な点を評価した。また、プログラミング知識を必要としないノーコード開発が可能であることから、システムのブラックボックス化を防げる点も決め手となった。将来的に現場部門の担当者が自らシステムを開発・改修する「市民開発」や「マスタ管理の民主化」を見据えた提案であったことも採用を後押しした。
導入プロジェクトではドリーム・アーツの伴走支援を受けながら、業務整理とアプリ構築を進めた。旧システムの機能をそのまま移行するのではなく、ユーザーへのヒアリングを通じて不要な入力項目を削減するなど、シンプルで使いやすい設計を重視した。その結果、導入から約1年後の2024年11月には、移行対象としていた業務のほとんどをSmartDBへ移行完了させた。
SmartDBへの移行により、稟議にかかる時間は大幅に短縮された。紙ベースの業務が解消されたことに加え、入力項目の見直しやシステム自体の動作速度向上も寄与している。情報システム部にとっても、システムの可視性が高まったことで調査や修正にかかる手間が減り、メンテナンス工数の削減につながっている。また、ユーザー部門から「この業務もシステム化したい」といった改善要望が多数寄せられるようになるなど、システムに対する当事者意識の醸成という効果も表れている。

今後は、店舗の基本情報を管理する店舗マスタや、修理依頼書などの業務にも適用範囲を拡大する計画だ。紙やハンコ文化からの脱却を進めるとともに、店舗から本社への情報共有を活性化させる仕組みづくりも検討している。
C-United管理本部情報システム部部長の己斐裕一氏は、「業務効率化という点では、店舗マスタの運用を開始できれば多店舗を運営する業態として大きなインパクトになる。自分の手で業務を改善できるユーザーを増やし、部門やシステムの垣根をなくす入り口になるシステムにしていきたい」と話している。