アストラゼネカは、顧客エンゲージメントの変革を目的にSalesforceの「Agentforce Life Sciences for Customer Engagement」を採用した。12月4日、米Salesforceが発表した。データ駆動型でAIを活用したエンゲージメントを通じ、医療従事者(HCP)とのより強固な関係構築を目指す。オンコロジー(腫瘍学)や希少疾患などの領域における医薬品提供体制を支える基盤とする考えだ。
アストラゼネカは、オンコロジー、希少疾患、バイオファーマ領域(循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患)において、サイエンスの限界に挑み、患者の人生を変える医薬品を届けることをミッションに掲げている。この実現のため、インテリジェントなエンゲージメント基盤を整備し、顧客関係の再定義と事業成長の加速を図る必要があった。
今回の採用により、アストラゼネカはSalesforceのAgentforce 360 for Life Sciencesを活用し、グローバル規模でのエンドツーエンドのエンゲージメントソリューションを構築する。具体的には、メディカル部門とコマーシャル部門の連携において、医療従事者のインサイトを集約し、チーム横断で状況を可視化できるようにする。
また、AIによる「ネクストベストアクション」の推奨機能を活用することで、主要顧客やフィールドチームの業務におけるパーソナライズ化を推進する。顧客の嗜好に基づき、複数チャネルにわたるデジタルキャンペーンのオーケストレーションと自動化も行う方針だ。
システム基盤の連携面では、SalesforceのMulesoft Agent Fabricを通じてアーキテクチャを拡張する。AIシステムの接続規格(MCP)を活用して相互の連携を可能にすることで、現場での顧客対応や販売促進、さらには異なる製品や地域にまたがる社内外のAIの動きを調整し、社員とAIが一体となって円滑に業務を進められる環境を整える。これにより、各チームは戦略的な顧客成果と意義あるオンラインやオフラインで双方向にやり取りするすべての接点となる顧客インタラクションに注力可能になる。
Salesforceライフサイエンス部門シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのフランク・デフェシェ氏は、「アストラゼネカがAgentforce Life Sciencesを選択したことは、ライフサイエンス業界においてインテリジェントでエージェンティックな顧客とのエンゲージメント構築に向けた確かな一歩だ」としている。両社は今後も協力し、パーソナライズされたエンゲージメントを通じて、世界中の患者への医薬品提供を加速させる考えだ。